研究課題/領域番号 |
22K01429
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
浅井 学 創価大学, 経済学部, 教授 (90319484)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高次元 / 高頻度 / 確率的ボラティリティ変動モデル / 多変量 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高次元かつ高頻度データを用いて、共分散の新たなモデルおよびその推定方法を提案し、予測力などその実用性を検証することである。特に確率的ボラティリティ変動(Multivariate Stochastic Volatility)モデルにおいて、①実現相関係数行列のモデル化、②データの回転によるパラメータ削減、③ファクター構造による次元削減の3点に注目する。 2022年度は、まず①について単変量モデルの研究に取り組んだ。金融資産の収益率の日次データと高頻度データから求めた実現ボラティリティのデータを用いて、確率的ボラティリティ変動モデルのパラメータを推定するには、シミュレーション最尤法またはベイジアン・マルコフ連鎖モンテカルロ法による推定のいずれかが用いられる。いずれもコンピュータ集約的な手法であり計算コストが大きいため、高速計算が可能な二段階シミュレーション最尤法が考案されている。申請者は、単純な疑似最尤推定量を使って、モンテカルト実験により、二段階シミュレーション最尤法と同等の精度で推定できることを示した。また実証分析を行い、論文にまとめた。この論文は現在、学術誌の審査を受けている。 また2022年度には②と③の基礎研究に取り組んだ。高次元データを扱っているため、いずれもスパース性を仮定した共分散行列(またはその逆行列)の推定が必要となる。この研究に取り組んでいるうちに、実は多変量自己回帰モデルの推定に応用できることがわかり、その成果を論文にまとめた。論文は、学術誌Econometrics Journalに採択された。 同様に①と③に関する基礎研究として、複数の金融資産の収益率と実現共分散をもとにした新たなモデルを考案し、疑似最尤推定量の一致性と漸近正規性を示した。論文は、学術誌Journal of Time Series Econometricsに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って研究を進め、成果を3編の論文にまとめることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は③の研究を進めていく。モデル推定のためのコードの準備はできたので、モンテカルロ実験を行い、③で考案したモデルの有用性を示していく。 また以前に入手した金融資産の収益率の高次元・高頻度データを整理して実現共分散のデータを作成する。このデータは、①~③に関する研究および発展的な研究の遂行に必要となる。この実現共分散のデータを使って、順次①~③に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
わずかだが1,509円の差額が生じた。翌年度の助成金と合わせて適切に使用する。
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