研究課題/領域番号 |
22K01430
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
牧 大樹 同志社大学, 商学部, 教授 (60423737)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 実現ボラティリティ / 非線形性 / 予測精度 / 取引量 / 非対称効果 |
研究実績の概要 |
ボラティリティの予測は、ファイナンス分野におけるリスクマネジメントの重要な要素の一つである。予測精度の向上には、適切なボラティリティの測定とモデリングが必要である。ボラティリティとして最も有効な尺度の1つは実現ボラティリティであり、この動きをモデルするために広く使われているのは、線形のHARモデルである。最近の研究では、HARモデルを様々な非線形モデルに拡張している。非線形モデルは、標準的な線形のHARよりも予測精度が高くなり得るが、その予測精度はモデルの想定に依存する。しかし、誤ったモデルを使用すると予測精度を低下させる可能性がある。そのため、特定のモデルに依存せず、様々なモデルを近似的に用いて非線形性を考慮することが望まれる。 本研究では、実現ボラティリティの非線形性が予測精度を高めるかを検証するため、特定の非線形性を考慮しない新たなモデルを提案した。提案したモデルは様々な非線形モデルを近似できる特徴を持っており、モデル特定化の誤りによる予測精度の低下を防ぐことが期待できる。提案したモデルに基づき実証分析を行ったところ、非線形性を考慮することは、従来のモデルより高い予測精度をもたらすことが明らかとなった。 また、モデル精度を高めるため、取引量の非対称効果が実現ボラティリティに与える影響を検証している。この非対称効果を検証するために、本研究では非対称取引量を考慮する新たなモデルを導入している。導入された非対称取引量は日中リターンか日次リターンに依存して非対称変数を構成する。提案されたモデルを用いてT実現ボラティリティを推定したところ、明確な取引量の非対称効果が観測されるだけでなく、予測精度が改善された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題について、先行研究を比較検討するとともに新たなモデルを提案し、実際のデータ分析からその有効性を示すことができた。実際、従来のモデルと比較すると、提案されたモデルの予測精度は高くなることが統計的に示された。さらに、取引量を考慮する実現ボラティリティのモデルについても予測精度を高められるモデルを提案することができたため、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、他モデルとのさらなる比較や多変量モデルへの拡張を検討する必要がある。それらの検討により、さらなる予測精度の向上が期待される。また、資源価格や商品価格の高頻度データを使用して、提案したモデルの有効性を示すことで、今後の本研究課題を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は在外研究で英国に滞在していたため、当初計画していた計算処理速度が速いワークステーションを所属研究機関の研究室に準備できなかった。そのワークステーションに導入予定のソフトウェアの購入もできなかったため、使用額に差が生じた。 令和5年度は令和4年度に準備できなかった物品の準備を進めつつ、国内外での学会参加を積極的に行う。それらによって使用額の差を補い、研究を進める予定である。
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