本研究ではアジア開発途上国における本格的な変動性再生可能エネルギーの大量導入のため、再生可能エネルギーの市場への統合政策の有効性、持続的な受け入れ体制を構築する考察を行った。先進国、開発途上国を含む63カ国における2019-2020年のクロスセクションデータを用い、変動性再エネ比率および FIT/FIP、発送電分離(アンバンドリング)、BG(バランシンググループ)か強制プール、系統への投資費用の国による負担、ネットメータリング、その他の政策変数との相関を調べた。分析の結果、FIT など変動性再エネそのものへの優遇策と発送電分離(アンバンドリング)は、再エネの大量導入に有効であるものの、今後はその大量導入と共に変動性再エネを卸市場に統合していくための施策が必要となること、さらにアジア開発途上国における再エネ大量導入の問題を明らかにした。また、先進国での変動性再生可能エネルギーの市場への統合にあたって得られた教訓に基づいて、アジア開発途上国においての導入時の留意点を述べた。但しアジア開発途上国における再エネ大量導入では、本稿で述べたような市場統合にあたっての政策上留意する点がある。 本稿ではクロスセクションデータを用いたが、今後は各政策の導入のタイミングも考慮し たパネルデータで同様の分析手法を行いたい1つの国の中でも米国のように州によって再エ ネ政策が異なっている点や、国の規模によって 他国に与えるインパクトも異なるため、こうした点も考慮していきたい。
|