研究課題/領域番号 |
22K01447
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
金子 昭彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10282873)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 2部門モデル / 人口減少 |
研究実績の概要 |
本年度は1本の査読論文の発表、新たな論文の学会発表の登録(2024年4月発表予定)、前年度から執筆中の論文の継続執筆を行った。 査読論文は"Impact of PAYG pensions on country welfare through capital accumulation."と題し、International Economics and Economic Policy誌に発表された。この論文では、2国経済において経済の開放化が両国に年金制度を通じてどのような厚生の変化をもたらすかを分析したもので、科研のテーマ「人口減少」こそ直接入っていないものの、人口減少社会に取って大きな問題である開放経済下の年金制度の在り方を問う論文となっている。学会発表に登録した論文は、"The economic effect of child benefit on fertility in a two-sector OLG model"と題し、人口減少に対して育児手当が効果的かどうかを2部門モデルで考察するものである。1部門モデルでは育児手当がかえって出生率を減らしてしまうというパラドキシカルな結果が起こりやすいことが知られているが、分析の結果、1部門モデルとは異なり2部門モデルでは、育児手当が効果的であることが分かった。 継続執筆の論文は、共同研究者であるAntoine Le Richeとの分析により、内生出生と年金制度を同時に考慮する論文である。前年度執筆を開始したが、動学経路の分析がかなり複雑になり、年金制度の拡充と年金制度の持続性について明確な結果は得られていなかった。今年度は定常状態の存在を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1本の査読論文を発表できたこと。2部門モデルにおいては、一般的に育児手当が子育てに対して有効であるという、人口減少社会にとって有益な結果が得られたこと。前年度から執筆継続の論文について、一定の進展が観られたこと。以上から「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず学会発表を行った論文を仕上げて査読雑誌に投稿する予定である。その後、Antoine Le Richeとの共同作業を続け、内生出生と年金制度を同時に考慮する論文において、比較静学分析など明確な結果を求めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会登録は本年度中に行ったが、学会開催が4月であったため、次年度予算としての支出となった。
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