研究実績の概要 |
本研究では,(i)基本モデルの構築,(ii)解析的結果の導出,(iii)exact hat algebraによる数値計算,(iv)拡張による頑健性チェック,という4つのステップを踏み,研究を進めることが計画されていた.このうち,ステップ(iii)までは前年度までに一応の結果を得ていた. 本年度は,ステップ(iv)に着手した.拡張の方向としては,第一に機械部門に企業異質性を導入すること,第二に貿易費用に輸入関税を追加することが考えられていた.第一の拡張については,前年度までに同質企業の下で得られた定性的結果が異質企業の下でも同様に得られることを確認した.この結果は,論文``Country- and sector-specific trade liberalization, directed technical change, and long-run growth''に加筆されている. 一方,第二の拡張については,税収をもたらす輸入関税等の貿易政策は氷塊型貿易費用に比べてモデル化が非常に難しい.本年度は,その準備として,静学的な多数国多部門一般化重力モデルを構築し,最適貿易政策を特徴付けた.また,ある国の労働賦存量がゼロに近付くときその国の国内財への支出割合がゼロに近付くという反事実的な結果が,その国の貿易費用を適切に調整することによって回避されることを発見した.これらの結果は,論文``The small open economy in a generalized gravity model'' (with Demidova, Kucheryavyy, and Rodriguez-Clare)にまとめられている.
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