研究実績の概要 |
本研究で実施する分析として、①コロナ危機と出産の意思決定,②妊娠控えが今後の出生行動に与える影響,③危機下での妊娠・出産経験が次子出産希望に与える影響,を計画していた。2022~2023年度は特に、①②に着目して論文執筆、学会報告、公表を試みた。 ①については、コロナ危機において約2割の既婚女性において妊娠控えが発生していたこと、それらが所得の減少、雇用不安、将来への家計不安による影響であることが確認された(Matsushima et al.(2023)Impact of the COVID-19 pandemic on pregnancy postponement – evidence from Japan COVID-19; Journal of Biosocial Science.55(5):908-920.))。加えて、妊娠延期の決定と、重度の心理的苦痛やコロナ禍以降に発生した孤独感、自殺念慮が強く関連していることが明らかとなった(Matsushima, M.et al. (2023)Married women’s decision to delay childbearing, and loneliness, severe psychological distress, and suicidal ideation under crisis: online survey data analysis from 2020 to 2021. BMC Public Health 23, 1642)。②については、危機下での出産経験自体が次子希望に影響を与えているというよりも、社会的なつながりがあることが特に第2子以上の挙児希望に影響をしていることが分析結果から分かってきたところである。
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