研究課題/領域番号 |
22K01484
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
田渕 隆俊 中央大学, 国際経営学部, 教授 (70133014)
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研究分担者 |
高橋 孝明 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (30262091)
佐藤 泰裕 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (30332703)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 空間経済学 / 地域発展 |
研究実績の概要 |
グローバル化とともに、東京一極集中に代表される都市化の大きな市場の力がわが国の経済成長を牽引してきた。今後も都市集積の経済による大都市集中は進行していくものと予測されているが、コロナ禍のなか地球環境・都市環境の変化や地域間格差や都市内部における所得格差が深刻になりつつある。 このことを踏まえて、「空間経済理論の再構築」を中心に研究を遂行する。具体的には、空間経済学を代表する理論を再検討し、一般的な理論の定式化を目指す。また、「中国の近年の経済発展のモデル」を開発し、理論と実証面から分析を行う。 高齢化社会における経済地理学のモデルについて多角的に分析することによって、政策的提言を行う。また、空間経済学の観点から、コロナ禍における観光産業の分析を理論と実証の観点から行い、望ましい地域経済政策を導き出す。また、固定資産税における地域間競争がもたらす帰結についての研究を行い、計量経済分析を行う。そして、京都市のデータをもとにして、居住空間のおける人種差別の問題を計量経済学的に分析し、望ましい都市経済政策を導き出す。 さらに、都市における知識創造とイノベーション、外国人労働力の流入と知識創造、多様な多国籍企業、環境汚染や地域公共財などについて、その効果を分析し、都市内部の空間構造、外国人労働力や起業家や多国籍企業が地域経済に果たす役割について、社会科学の他分野との接合を見据えながら、学際的な研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グローバル化や東京一極集中などの近年の都市経済・都市環境の変化を踏まえて、初年度では、「空間経済理論の再構築」を中心に研究を遂行した。具体的には、空間経済学を代表するMelitz and Ottavianoのモデルにおける問題点を指摘し、より一般的な理論の定式化を行ったところである。 また、「中国の近年の経済発展のモデル」は、理論的な開発はある程度達成できたところであり、実証分析に取りかかったところである。 高齢化社会における経済地理学のモデル、コロナ禍における観光産業の分析、固定資産税における地域間競争の分析、居住空間のおける人種差別の分析については、それぞれ論文にまとめた。 さらに、都市における知識創造とイノベーション、外国人労働力の流入と知識創造、多様な多国籍企業、環境汚染や地域公共財などについては、研究を開始したところである。
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今後の研究の推進方策 |
「空間経済理論の再構築」に関する研究では、空間経済学を代表するMelitz and Ottavianoのモデルにいくつかの問題があることが判明した。今後は、問題を解決する方向で研究を遂行する予定である。そして、理論面からは解析的に有意義な命題を導出し、一般的な理論の定式化を行う。また、数値シミュレーションを行うことによって、モデルの性質を明らかにするとともに、現実データとの整合性を調べる予定である。 「中国の近年の経済発展のモデル」に関する研究では、モデルはすでに開発したので、実証分析を中心に行う予定である。具体的には、中国の研究者たちと共同することによって、中国の経済データを収集し、計量経済分析を行う予定である。 さらに、都市における知識創造とイノベーション、外国人労働力の流入と知識創造、多様な多国籍企業、環境汚染や地域公共財などについても研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「中国の近年の経済発展のモデル」は、中国浙江大学の二人の研究者との強度研究である。浙江大学から中央大学に招聘する予定だったが、コロナ禍のため中国側の事情により延期となった。
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