研究課題/領域番号 |
22K01503
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
宮本 拓郎 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (30738711)
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研究分担者 |
矢島 猶雅 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (10844532)
有村 俊秀 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70327865)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グリーン購入 / グリーン購入方針 / 地方公共団体 |
研究実績の概要 |
研究代表者と研究分担者有村がオーガナイザーとなって、環境科学会2022年会でシンポジウム「地域の脱炭素化:次世代エネルギーと公共調達の観点から考える」を開催した。このシンポジウムで研究分担者の矢島が「グリーン調達方針による学習効果と家庭での消費行動との関係性」という題名の報告を行い、研究協力者のグリーン購入ネットワークの事務局の竹内氏に「地方公共団体のグリーン購入取り組み状況」という題名で報告していただいた。また、別の研究成果を2つの論文に取りまとめ、1つは2023年4月30日に掲載受理され、もう1つは現在査読中である。 掲載受理された研究では、地方自治体の場所や規模、環境政策関連のケイパビリティによって、グリーン購入の方針の作成・公表の状況が異なることを明らかにした。さらに、グリーン購入方針作成に関する主な障壁や促進要因を特定した。 現在査読中の論文は、グリーン購入方針とグリーン購入の効果の計測・主観的な評価の関係性に関する研究であり、以下のことを明らかにした。グリーン購入方針はグリーン調達の効果を実感している確率を高めるが、実際に効果を実感している自治体数は非常に少なく、また、効果の定量的な計測は難しい傾向にある。グリーン調達の効果の計測の難しさは,グリーン調達の効果の理解の難しさという課題を生じさせている可能性がある。 さらに、次年度以降に行う予定のグリーン購入方針の中期的な効果の分析のための準備を行った。具体的には、分析を行うために必要なグリーン購入法の対象品目や基準の改訂の情報の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り、年度末時点で査読中となっている論文2本を執筆し、査読中となっているのは申請時の想定よりも順調であると言える。ただし、申請時の想定よりも多くの論文を執筆したことと、グリーン購入法の改訂が頻繁に行われておりその変遷をしっかり押さえる必要があることは申請時には想定していなかった。これら2つの要因により、次年度に完成させる予定のグリーン購入方針の中期的な効果の分析が想定よりも遅れている。このため、「当初の計画以上に進展している。」ではなく、「概ね順調に進捗している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究で中心になるのは、グリーン購入方針の中期的な効果の分析である。この分析をする上で、考慮しなければならないことは(各製品サービスは数年おきではあるが)グリーン購入法の対象となる製品サービスやそれらが満たすべき基準は毎年改訂されていることである。まずは、対象製品・サービスや基準の変化についてとりまとめ、それを(社会貢献の効果も意図して)今年度中に日本語で論文化する予定である。日本の自治体のグリーン購入に関するデータはかなりユニークであり、海外の研究者が日本のデータを使った研究に興味を持つ可能性がある。そのため、海外と日本のグリーン購入に関する制度的な違いをふまえつつ、日本の自治体のグリーン購入の制度・状況を英語論文にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外で開催される学会に対面で参加する予定で申請を行った。しかし、担当している授業などへの影響を考慮すると海外で開催される学会に参加することが困難で、参加を見合わせたため、予算が余ることになった。次年度以降に海外で開催される学会に参加することに使用する予定である。
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