研究課題/領域番号 |
22K01509
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
片桐 満 法政大学, 経営学部, 准教授 (80909739)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 異質的企業モデル / 企業動学 / 労働市場 / 直接投資 / 経済成長 / 起業 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、補完的な複数の研究テーマについて、異質的企業を考慮した一般均衡モデル(以下HFM)に基づく定量分析を行い、特にわが国経済において、企業動学がマクロ経済全体に果たす役割と望ましい政策の在り方について、多角的な視点から明らかにすることである。第一に、直接投資を通じた企業動学と人口動態・国際資金フローの関係について研究を進めた。人口動態は、既存研究でも国際資金フローの有意な決定要因として捉えられているが、本研究では、国際資金フローを直接投資と証券投資に分けてモデル化し、日本の少子高齢化の影響を分析している。定量分析では、(1)日本の経常収支と部門別貯蓄の動向は、人口動態の変化だけで十分に説明できること、(2)異質的な多国籍企業の直接投資に関する決定が、それらの動向を説明する鍵になることを明らかにした。第二に、労働市場の柔軟性が、起業スピリット、企業の参入・退出、経済成長に対してどういった影響を与えるのかという点に関して研究を進めた。2022年度は、研究年度の初年度ということもあり、既存文献のサーベイ、モデルの構築、データベースの整備など、定量的な研究を開始する上での基礎的な作業を行った。具体的には、シュンペーター型の経済成長モデルに、家計の起業に関する判断を織り込んだHFMを構築し、シミュレーションのためのプログラムを作成した。また、経済産業省「経済産業省企業活動基本調査」のミクロデータを統計法に基づいて入手し、HFMのパラメータ推計に用いている。2023年度以降は、解雇規制の緩和を含めた労働市場の規制緩和が、起業や経済成長に与える影響について、上記のHFMを用いた定量分析を継続して行うほか、労働市場の柔軟性に関する社会厚生分析について、新たにHFMを用いた研究を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題における複数の研究について、第一に、直接投資に関する研究は、概ね定量分析を含めた分析作業は終了し、2022年度は国際学会発表を行い、幾つか有益なコメントを得ることができた。現在、得られた定量分析結果に基づきドラフトの作成を進めている。第二に、労働市場の柔軟性と起業、経済成長の関係に関する研究については、モデルの構築とミクロデータを用いたパラメータの推計を行った。現在、粗い定量分析結果を算出するところまで研究を進めることができており、一橋大学でのセミナー発表も行った。最後に、労働市場の柔軟性に関する社会厚生分析については、既存文献のサーベイを進め、粗いリサーチのアイデアを固めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、直接投資に関する研究は、2023年度も引き続き学会発表を行いつつドラフト作成を進め、2023年度中には学術誌に投稿することができるのではないかと考えている。第二に、労働市場の柔軟性と起業、経済成長の関係に関する研究については、2023年度は、定量分析結果について複数の国際学会で報告を行う予定である。その後、学会発表で得られたコメントに基づいて、モデルの変更、再推計、シミュレーション分析の修正・追加を行う予定である。研究課題の最終年度である2024年度には、引き続き学会での発表を行いつつ、ドラフトの作成と学術誌への投稿を行えればと考えている。最後に、労働市場の柔軟性に関する社会厚生分析については、2023年度には粗い分析結果を出せるところまで進め、最終年度の2024年度にかけて学会発表やドラフト作成を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費について、コロナ感染拡大によって複数の出張を中止したことにより、研究費の次年度使用額が発生した。第一に、イギリスで行われたDynare conferenceにおいて、直接投資に関する研究を発表する予定(アクセプト済み)であったにもかかわらず、コロナ感染拡大にともなう出入国規制が緩和されない中において、海外出張を行うことのリスクが高かったため出張を取り止めた。第二に、学会へのフロア参加による情報収集を目的として、夏の国内出張を予定していたが、家族のコロナ感染によって出張を取り止めた。2023年度については、コロナ感染拡大に伴う出入国規制がほぼ解除されたこともあり、既に複数の学会発表のための海外出張を予定しているため、次年度使用額を含めた旅費の支出を見込んでいる。そのほか、ドラフト作成が遅れたことによって英文校閲の出費がゼロであったが、その分の支出を2023年度に見込んでいる。
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