研究課題/領域番号 |
22K01525
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
湯川 志保 大東文化大学, 経済学部, 准教授 (50635141)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 性別役割意識 / 介護 / 経済援助 |
研究実績の概要 |
本年度は主に性別役割意識が親への援助方法に与える影響について分析をおこなった。具体的には、『男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである』という伝統的な規範への支持度合を性別役割意識の代理変数として用い、親への介護予定と経済援助予定に与える影響について分析を行った。現時点での分析結果から、性別役割意識は自分の親への介護予定には有意な影響を与えないが、夫の親への介護予定には有意に負の影響を与えることが示された。一方、親への経済援助予定に与える影響については、どちらの親に対しても性別役割意識の高い人の方が低い人に比べて親への経済援助の予定がない傾向にあることが確認された。当初の予想では、性別役割意識が高い人の方が低い人よりも介護を予定している傾向にあると考えていたが、想定と異なる結果となってしまった。このような逆転が観測された原因を探るために、現在使用しているデータの質問項目よりも介護と性別役割意識に関してより適切な質問項目のあるデータを探す。さらに、分析手法についてもより適切な方法を先行研究などを参考に再検討する。そのうえで、推定結果をまとめ論文を完成させ国際的査読雑誌に投稿を行う予定である。これらについては次年度の課題としたい。 また、本研究課題の関連研究として、回答者である女性の親と女性の夫の親それぞれからの遺産期待が各親への介護予定に与える影響についても分析を行った。分析の結果から、女性と女性の夫のきょうだい構成のパターンごとに、親からの遺産期待がそれぞれの親への介護予定に与える影響が異なることが示され、長男であるということが主たる介護者でありかつ遺産の主たる相続人であるという試金石になっていることが示唆された。この研究については現在論文を執筆中であり、次年度中に論文を完成させて国際的査読雑誌に投稿を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
より適切なデータや分析方法を再検討するという課題はあるものの研究課題のひとつである性別役割意識と親への援助についての分析を行うことができたとともに、この研究課題に関連する研究についても研究を進めることができた。以上のことからおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
データや分析方法について再度検討したうえで、分析結果をまとめて論文を執筆したい。また、研究成果について学会報告を行い、その中で得られたコメントをもとに論文を改訂し、国際的査読雑誌への投稿をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響や学内業務等の関係で、次年度と合算して学会報告や海外出張を行う方が適切と判断したため。
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