研究課題/領域番号 |
22K01561
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
亀坂 安紀子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70276666)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 金融論 / 金融 / ファイナンス / 経済学 / 経済政策 / 生活満足度 / ウェルビーイング |
研究実績の概要 |
本研究は、ロバート・シラー教授と共同で株価の決定メカニズムを解明することを主たる目的としている。このため、本研究資金を使用して、2022年度中にもシラー教授が設計した機関投資家を対象としたアンケート調査を実施した。2022年度に得られたデータでは特に、コロナ禍以降のファンダメンタルズと比較した株価の評価(割高割安に関する分析)を行い、本研究資金によって分析された結果の一部は、日本FP学会の大会でも報告を行った。シラー教授が設計した調査の中長期的なデータ分析の結果についても、新たに論文を執筆して公表を行ったほか、関連する個人投資家のデータも新たに入手し分析を開始した。
株価は、政府の政策など、様々な要因(ファンダメンタルズ)によっても変動する。このため、本研究資金では、株式市場の分析に限らず、経済の基礎的条件にかかわるような政策の分析も進めた。それらの政策分析の結果については、内閣府の経済社会総合研究所と一橋大学社会科学高等研究院EBPM研究センターが共催した政策フォーラムなどで広く研究成果を公表した。この内閣府と一橋大学が共催した政策フィーラムの内容は、内閣府と一橋大学のホームページでも、プレゼンに使用されたスライドや動画が提供される形で、オンデマンド型でも提供された。このほか、関連する政策分析結果や提言などは、経済同友会が2022年12月20日に開催した第7回未来選択会議など、経済団体が主催するイベントでも紹介された。
上記の政策分析に関連して、2022年9月11日発行の日本経済新聞電子版に「『国の幸福』を数値で計測 経済学で社会問題を解く」という特集記事が掲載された(Global Economics Trends 亀坂安紀子)。内閣府の委託調査のもと「満足度・生活の質指標群に関する研究会」にも参加し、内閣府の生活満足度関連の調査設計、報告書の作成にも携わった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、上述の通り、ロバート・シラー教授が設計した機関投資家を対象としたアンケート調査を実施することを目的としており、配分された研究資金内で実施できる年数回のアンケート調査を当初の計画通り実施できた。また、過去に得られたデータとも接続することにより、中長期的な傾向について論文を執筆することが出来た。これまで実施できていなかった関連データの分析を進め、2022年度の日本FP学会の大会でも報告を行った。
株価は、実際には、政府の政策などによっても変動するが、本研究資金では、株式市場の分析に限ることなく、経済の基礎的条件にかかわるような政策の分析も進めることが出来た。また、それらの政策分析の結果について、内閣府の研究所と一橋大学が共催した政策フォーラムなどで広く情報発信する機会が得られたほか、この概要は、2023年3月23日発行の日本経済新聞夕刊の半面広告としても紹介された。この内容の全容がオンデマンド型でも提供されているのは、上述した通りである。このような政策に関する分析結果は、経済同友会などの経済団体からも注目され、大きなイベントで発表する機会が得られた。
株式市場の分析に限らず、株価に影響を与えるファンダメンタルズや政策分析に関しても、内閣府の委託調査に参加するなどの形で貢献できた。この研究会で調査設計に関わり、収集されたデータは、広く研究用に提供されており、日本のデータで関連研究をしたい若手研究者の研究機会をデータを充実させるという面からサポートするという意味でも貢献できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、今後もロバート・シラー教授が設計した機関投資家を対象としたアンケート調査を配分された研究資金内で実施できる限度内で当初の計画通り実施する予定である。また、過去に得られたデータとあわせて分析を進めて、中長期的な投資家の予測バイヤスなどを分析する予定である。2022年度中にあらたに関連データを得られたため、関連データとあわせた分析を進め、2023年度以降も、学会の大会等で報告する予定である。
株価が上昇するには、企業のファンダメンタルズが改善する必要があり、それには企業が成長人材を育成したり、研究開発を推進したりする必要がある。日本では、人口減少が見込まれ、優秀な人材を確保するには、従業員の待遇改善や働き方改革のあり方も問われるようになっている。障害を持った人々の雇用のあり方やSDGsへの取り組みのあり方なども問われるようになっている現在、様々な企業の取り組みや日本の政府の政策なども分析していく予定である。
今後も株式市場の分析だけでなく、株価に影響を与えるファンダメンタルズや政策分析も進め、得られた結果は学会なども含め、広く情報発信していく。また、共同研究などを通じて、若手研究者の育成も試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末にアルバイトとして雇用していた者が発熱などの症状を訴えたため、休養をとらせ、翌年度にその分勤務してもらうように調整した。
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