現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の背景となっている、金融技術(FinTech)の進歩と受容、コロナ禍の影響との関連について研究を深め、成果を公表した: Joseph Jr. Aduba, Behrooz Asgari, and Hiroshi Izawa, ”Does FinTech penetration drive financial development? Evidence from panel analysis of emerging and developing economies,” Borsa Istanbul Review, Elsevier, 23(5),1078-1097, 2023/09. 本研究では、60 を超える経済圏の預金受入金融機関における資産変換の情報集約型プロセスから推定された財務パフォーマンスの 2 つの指標を使用して、これらのパフォーマンス指標、フィンテックの浸透、金融包摂、およびそれらが金融に及ぼす相互効果の間の関連性を分析した。主な結果は、フィンテックの普及が、金融包摂が低く、比率ベースの財務パフォーマンス指標が貧弱な経済の金融発展を促進することを示唆している。また、金融発展から金融包摂へ、後者から前者への因果関係が共存している。ただし、堅調な財務パフォーマンス指標から財務発展への因果関係は一方向である。これらの調査結果は、貧弱な金融インフラと貧弱な財務パフォーマンスにもかかわらず、金融技術のイノベーションを刺激する関連政策によって、発展途上国と新興国の金融開発を改善できることを示しており、後者から前者まで共存性も存在する。ただし、堅調な財務パフォーマンス指標から財務発展への因果関係には一方向性が存在する。この結果は、金融技術のイノベーションを刺激する政策によって、発展途上国と新興国の金融開発を改善できることを示している。
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