研究課題/領域番号 |
22K01601
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
勘坂 純市 創価大学, 経済学部, 教授 (20267488)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 戦前日本 / 農業 / 米穀検査 / 肥料 |
研究実績の概要 |
20世紀初頭日本において米穀検査を促進・阻害した地域社会の要因を分析するために、本年度は、水稲生産地域である富山県・石川県、および大都市近郊で蔬菜等も栽培された愛知県をフィールドに農業技術の進展を、特に、肥料投入に焦点を当てて分析を進める準備をした。日本農業における肥料の重要性は、速水(1973: 13)が指摘しているが、速水は全国規模での窒素投入の変遷を明らかにしたのみで、各地域がその特性に応じて、窒素投入の在り方をどのように変えていたか、また、各農家、各郡、各県単で考察した場合、肥料投入にはどのような特徴があったかを明らかにはしていない。また、窒素だけでなく、燐酸、加里の投入についても合わせて考察する必要ある。さらに、肥料の過剰投入は、土壌の劣化等の問題を引き起こしている点にも注意が必要だろう。化学肥料導入以前の農業での窒素循環は、ヨーロッパの農業についても研究が進められている(Guldner and Krausmann 2017)。 主に用いた資料は、農家経済調査、各県の肥料に関する調査、および各県の統計書である。それに、戦前期に出版された肥料に関する研究所、農民に対する農作業の手引き等も用いた。これらの資料から、(1)各農業世帯の肥料投入は、窒素、リン酸、カリウムいついて、ほぼ当時、推奨された水準の投入を行っていること、(2)各郡別にみた反当りの肥料投入には収穫量と正の相関関係が見られること、(3)肥料投入の実際の組み合わせ(有機肥料と無機肥料の割合、自給肥料と購入肥料の割合)は地域ごとに多様であることが明らかとなった。 今後は、(1)農業技術の進展が米穀の品質向上にどのように貢献したか、(2)水田、耕地から流出した肥料成分の推計を行い、農業生産が環境に与えて影響も明らかにしていく必要がある
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夏休みに校務が忙しく、十分な資料収集ができなかったが、5月に愛知と3月に石川・富山で資料収集ができ、研究全体はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、計画に沿って、富山県、石川県、新潟県の米穀検査報告のデータベースの作成を進める。また、農業技術と米穀の品質向上の関係をさらに究明するために、肥料投入の分析も合わせて進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で移動が制限されていたため、また、夏休みに校務のため十分に時間が取れなかったため、資料収集の出張が十分にできなかった。また、そのために、データベースの作成もやや遅れたため、次年度使用額が生じた。
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