研究課題/領域番号 |
22K01617
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
日臺 健雄 和光大学, 経済経営学部, 教授 (00633512)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 戦時経済 / 犯罪の経済史 / 計画経済 / 国家主導資本主義 / 市場メカニズム / スターリン体制 / コルホーズ |
研究実績の概要 |
本研究では,第二次大戦期のソ連を対象として,「平時よりも国家による統制色が強まる戦時期に,計画経済体制下のソ連において市場メカニズムはいかに機能したのか」という課題に,コルホーズ市場での取引を主な対象として取り組む。そして,第二次大戦期のソ連でのコルホーズ市場の機能の全体像を示し,第二次世界大戦がソ連経済にもたらした制度面の断絶的側面と連続的側面を剔出しつつ,「計画と市場」の関係の新たな側面を明らかにすることを目的とする。 本研究を遂行するのに必要な作業は (A)史料の収集,(B)新規収集史料および収集済み史料の整理と分析,(C)研究内容の学会での発表,(D)研究成果の査読誌への投稿,である。このうち,1年目から2年目にかけて(A)と(B)をおこない,2年目から3年目にかけて(C)と(D)をおこなう予定であった。しかし,ロシアによるウクライナへの侵攻の開始によってロシア現地での史料収集が不可能となったため,代替措置として国内およびロシア以外の旧ソ連構成諸国での二次文献の収集に切り替えた。具体的には2023年8月にカザフスタンおよびウズベキスタンにおいて二次文献の収集をおこなった。 また,2024年度政治経済学・経済史学会春季学術大会の共通論題「犯罪の経済史」における報告者に招待されたことを受けて,「スターリン体制下のソヴェト農民における『犯罪』」という論題で研究報告を準備しており,2024年2月の第1回準備報告会で準備報告をおこなった。 加えて,対ウクライナ戦争を遂行し国家主導資本主義化が進む現下のロシアにおける戦時経済と,計画経済をベースとする第二次大戦期のソ連における戦時経済との比較研究という観点から,3回にわたり学会ならびに国際会議でロシアにおける戦時経済および国家主導資本主義にかんする研究発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を遂行するのに必要な作業は (A)史料の収集,(B)新規収集史料および収集済み史料の整理と分析,(C)研究内容の学会での発表,(D)研究成果の査読誌への投稿,である。このうち,1年目から2年目にかけて(A)と(B)をおこない,2年目から3年目にかけて(C)と(D)をおこなう予定であった。 しかし,ロシアによるウクライナへの侵攻の開始によってロシア現地での史料収集が不可能となったため,代替措置として国内およびロシア,ウクライナ以外の旧ソ連構成諸国での二次文献の収集に切り替えた。具体的には2023年8月にカザフスタンおよびウズベキスタンにおいて二次文献の収集をおこなった。 一方,2024年度政治経済学・経済史学会春季学術大会の共通論題「犯罪の経済史」における報告者に招待されたことを受けて,「スターリン体制下のソヴェト農民における『犯罪』」という論題で研究報告を準備しており,2024年2月の第1回準備報告会で準備報告をおこなうなど,研究成果の発表に向けた準備が進んでいる。 また,対ウクライナ戦争を遂行し国家主導資本主義化が進む現下のロシアにおける戦時経済と,計画経済をベースとする第二次大戦期のソ連における戦時経済との比較研究という観点から,3回にわたり学会ならびに国際会議でロシアにおける戦時経済および国家主導資本主義にかんする研究発表をおこなっており,この分野でも研究の進展がみられた。
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今後の研究の推進方策 |
国内においては,北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの共同研究員に就任したこともあり,北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター図書室ならびに北海道大学附属図書館での資料収集をおこなう。なお,2024年度政治経済学・経済史学会春季学術大会の共通論題「犯罪の経済史」における報告者に招待されたことを受けて,「スターリン体制下のソヴェト農民における『犯罪』」という論題で2024年5月に研究報告をおこなう。また,現下のロシアにおける戦時経済と第二次大戦期のソ連における戦時経済との比較研究を進めるため,現代ロシア経済にかんする研究報告もおこなう予定である。 国外においては,ロシアが外務省による渡航延期勧告の対象となっていることから,当面の間ロシアにおける資料収集を見込むことはできないため,代替手段として,23年度に引き続いてロシア以外の旧ソ連諸国への出張による二次文献の収集をおこなうべく,準備をすすめる。
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