研究課題/領域番号 |
22K01644
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
長谷川 光一 大阪工業大学, 知的財産研究科, 准教授 (30426655)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 農産地 / 地域振興 |
研究実績の概要 |
本研究は、農作物が産地としてどのように発展・衰退していくのかを、さまざまな作物間の生産シフトを同時にみながら調査することで、日本の農業経営、特に産地の持続的発展や安定的経営に資する示唆を得ることを目的とする。本研究のリサーチクエスチョンは「農業分野で競争力を構築する産地は、どの程度持続的・長期的に競争力を維持できるのか。困難に直面した産地は、どのようにそれを乗り越えて産地を維持するのか」とした。 研究目的を達成するため、初年度は日本全国ので生産される農作物がどのような地域で生産され、それがどのように地域として移り変わるかを把握するためのデータベースを作成することとした。昭和48年以降に日本国内で生産された主要農産物50品目の都道府県別生産量を把握できるデータベースを構築した。 また、特徴的な盛衰の事例としてトマトと栗を選択した。トマトは近年の生産量はほぼ変わらないが作付け面積が減少する一方で反収が増加している。この中でも熊本県は県別生産量が1位であるが、かつては県別生産量が10位であった。1990年代ころから急速に生産量を伸ばし、日本一の生産量を誇るにいたっている。そこで、特に集積規模が大きい八代地域を対象にインタビュー調査を行い、集積の歴史や現在の特徴等について把握することとした。栗は現在需要が堅調であるものの生産量が減少している。県別生産量2位である熊本県の中でも品質で評価の高い人吉地域を対象として、インタビュー調査を行った。特に栗生産の特徴や問題点、需要に対する供給の減少等について現状を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は日本全体でみて農産地がどのように移り変わるかを把握するためのデータベースを構築することを目標とした。長期的な移り変わりをみるために、生産農業所得統計を可能な限り遡ってデータベース化することとした。2002年以前の生産農業所得統計は電子化されていないため、紙ベースの統計を入力することとし、当初の目的を達成した。 また、特徴的な地域を対象としてインタビュー調査を行うこととし、熊本県のトマト生産地と栗生産地の2か所で調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に構築したデータベースを用いて農産地の動向の分析を行うと共に、追加的インタビュー調査を行ったのち、質問票調査を実施する予定である。農協等に協力を打診し、日本全国の農産地での品目間シフトの状況や、その際の問題点等についてデータを取得予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査は2か所で行った。初年度末に実施した調査およびデータ入力については事務手続きの関係上、次年度の清算となった。初年度に入力する政府統計として生産農業所得統計を選択した。別の政府統計のデータ入力は生産農業所得統計の分析を行った後に実施することとし、当該年度のデータ入力についてはアルバイトを雇い効率的な作業計画を行うことで予算を節約した。
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