研究課題/領域番号 |
22K01647
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
川路 崇博 久留米大学, 文学部, 教授 (90554246)
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研究分担者 |
姜 理惠 法政大学, デザイン工学部, 教授 (90570052)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミドル起業家 / 女性起業家 / アントレプレナーシップ / 起業家 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ミドルエイジ起業家の教育に有用な学習プロセスを解明し、検証することである。終身雇用制が崩壊しつつあるなか、将来の職は保証されなくなることが予想される一方で、令和3年には、高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業が求められつつあり、長期に渡って働く時代となった。 このようななか、アメリカではミドル起業家が前職までの経験から得た知識を活用していることが分かっている。しかも、30代よりも50代での起業した場合成長速度が高いことが示されている。しかし前年度までに日本において前職までの経験を活かしているという特徴は見いだせず、むしろビジネス経験と起業の関係性は薄いことが分かってきた。 そこで本年度は、ミドルエイジ起業家の特性をさらに探索することとした。ミドルエイジ起業家へインタビューを実施・分析を進めた結果、ビジネス経験がありながら、まったく異なる分野への「思い」が起業行動を生み出していることが示唆された。これは起業家の意思決定プロセスの概念「エフェクチュエーション」での自己資源が用いられていないことを示す可能性がある。 また、80名のミドル世代女性を対象に起業家教育を実施している。新規に10名の企業内起業家候補生を導入し、その相乗効果を観察した。加えて、起業家教育先行研究2600件(Scopus)より、ミドルを対象にしたものを抽出作業を実施しており、理論的構築も急いでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度では起業済・起業指向者・無指向者の3群を比較したうえで、ミドル起業家たちの学習プロセスモデルを探索する計画であった。しかし、起業済のものへの調査と分析で、ミドル起業家の特性を分析するのみにとどまった。ただし、日本独自のミドルエイジ起業家の特性を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
調査が遅れている、起業指向者と無指向者に対する調査を実施し、どのようにミドルエイジで起業がなされるかの学習モデルを探索する。学習モデルが明らかにし、ミドル起業家を育成するための支援プログラムの構築を目指す。 ミドル女性への研究成果を国際会議で発表したところ、プログラムの内容に関心が高かったため、プログラムディベロッピングワークショップへのエントリーも準備している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、成果の発表までに至らなかったことが挙げられる。これは、おもにミドル起業家の特徴分析に注力したためである。2024年度は2023年度までに蓄積したデータから分析した結果を積極的に対外的に発表する計画である。
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