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2023 年度 実施状況報告書

行政組織におけるフレーミングの帰結:日韓の著作権法改正の比較事例分析

研究課題

研究課題/領域番号 22K01648
研究機関一橋大学

研究代表者

吉岡 徹  一橋大学, 大学院経営管理研究科, 講師 (60771277)

研究分担者 申 賢哲  大阪大学, 知的基盤総合センター, 特任准教授(常勤) (50750577)
京 俊介  中京大学, 法学部, 教授 (80609222)
小嶋 崇弘  駒澤大学, 法学部, 准教授 (80722264)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード著作権 / イノベーション政策 / 政治過程 / フレーミング
研究実績の概要

2年目である令和5年度は日本の著作権の政策過程についての調査を進め、並行して理論面でのサーベイを深めた。前者については、著作権法制における刑事罰の厳罰化の過程を立法過程の資料を精査し、統計上は明確な立法事由が見られないにもかかわらず、抑止効果についての半ばドグマ的な正当化がなされ、しかもそれに大きな疑問を提示されていなかったことが確認できた。その成果は大学紀要において公表した。
後者の理論面のサーベイでは科学技術政策の文脈で指摘されている立案者の能力に焦点を当て、科学技術の将来の発展の読み、そして、社会的な合意形成を行う能力が立法者に求められることを確認した。令和4年度に実施した文献調査の結果と合わせると、これらの能力がない場合には、政策の模倣につながりやすいことが想定される。本研究のテーマに照らし合わせると、立法事由が既発生のものに限る運用が仮になされていると、科学技術の将来の発展の読み自体が意味をなさない可能性はあるものの、そうでない場合、いかなる技術発展を予測しているかにより、立法の方向性が変わるはずである。韓国の法改正については議員立法を通じて米国の一般権利制限規定を導入する形で行われており、政策の模倣の形で正統性を担保した可能性がある。
これらと並行して、令和4年度に引き続き、著作権の一般条項、およびデータ分析に関する権利制限規定に対する運用と評価についての情報を収集した。とくに日本ではデータ分析に関する権利制限規定には、生成AIの文脈で議論が生じつつあることが確認できた。
これらの成果は令和6年度の調査に活かし、最終的な取りまとめにつながる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

韓国での調査を2年目である令和5年度に進める予定であり、研究協力者の尽力の下、概ね実現できる見通しが立ったが、研究代表者の多忙により現地調査の実施が3年目である令和6年度にもつれ込んでしまった。ただ、理論的な調査は順調に推移しており、現地でのワークショップ形式での調査結果次第では迅速に研究成果を取りまとめることができる。

今後の研究の推進方策

3年目である令和6年度は韓国での著作権法改正の過程についてのワークショップの開催を夏に予定している。これと並行して日本の著作権法改正の過程について当時の関係者への聞き取り調査を行い、両国の差異を理論的に比較する予定である。そのうえで、成果は学術論文に取りまとめ、国内外の学術誌に投稿をする。

次年度使用額が生じた理由

韓国での調査を予定していたが、研究代表者、および、分担者の本務の関係で調査実施日程候補が限られてしまい、調整がつかなかった。研究代表者において授業の開講の調整を進め、学期中でも調査が可能な日程を数日確保できたことから、次年度である令和6年度内に調査を行うこととし、予算を繰り越すこととした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 知的財産法の厳罰化はどのように進むのか?2024

    • 著者名/発表者名
      京俊介, 吉岡(小林)徹
    • 雑誌名

      中京法学

      巻: 58 ページ: 215-268

    • オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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