研究課題/領域番号 |
22K01663
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
嶋 正 日本大学, 商学部, 特任教授 (30187421)
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研究分担者 |
山田 敏之 大東文化大学, 経営学部, 教授 (10453664)
竹之内 玲子 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (30409627)
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
清水 さゆり 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (70445873)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ボーングローバル / 中小企業 / 中堅企業 / グローバル戦略 / 市場創造 / 事業転換 / 伝統技術 / 多角化 |
研究実績の概要 |
本研究は設立から数年以内に海外展開するボーングローバル企業(以下、BGF)の戦略行動の再考を通じて、グローバルな中堅・中小・ベンチャー企業の戦略行動を説明するための、統合理論モデルを構築することを意図している。そのため、本年度は、事例研究をベースに伝統企業で事業を転換してから急速に海外展開を進めるボーンアゲイン企業を中心に研究を進めた。とくに、日本の伝統技術を応用して海外進出を加速させる企業を分析ターゲットとした。 とくに最近では、日本の伝統的製品を生産している老舗企業の海外進出が加速化している。しかし、老舗企業のように、国内で培った伝統技術をベースにした製品を海外市場で開拓するとなると、逆に伝統という壁が大きな足枷になることは間違いない。例えば、日本酒の老舗企業の中には、海外に活路を見いだす企業もある一方、多くは日本市場という枠を超えられないのも事実である。とくに日本の伝統産業などの製品を扱っている企業が、突然、グローバル化する場合、いかに経営者がその伝統的製品にグローバル化の可能性を見いだすかにかかってくる。レオン自動機(株)の創業者は、饅頭の製造機械を開発する過程で、包み込む技術の海外市場への応用可能性に気がつき、創業から5年で米国に進出している。しかし、レオン自動機のようなBtoB企業と異なり、BtoC企業の場合、進出国の文化的背景の影響を受ける可能性が大きいことから、海外進出の壁は高くなる。この壁をうまく乗り越えたのが事例が新潟県三条市にあるマルナオ(株)である。今や高級箸のブランドとして国内だけではなく、海外においてもその知名度を上げている。昨年度は、マルナオをはじめとしたBtoC企業の事例研究を進め、インプリケーションを引き出してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染拡大により、予定していたインタビュー調査が延期されたため、当初の計画どおりにはインタビュー調査を進めることができなかったが、昨年度から事例企業の調査をかなり予定どおり進めることができた。そのため、仮説の設定や分析枠組の構築をより精緻化することができた。ただし、業界に偏りがあるため、今年度は多様な業界の中堅・中小・ベンチャー企業の戦略行動を分析を通じて、来年度の大規模アンケート調査に向けた仮説と分析枠組みをより精緻化するように研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2024年度に行う予定の大規模アンケート調査に向けて、よりユニークな仮説を設定するため、事例研究をより一層、厚くしていく予定である。また、令和4度に実施したユニークな事例にも、再度、インタビュー調査を行い、戦略のプロセスをより詳細に把握する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染で、予定していた事例企業のインタビュー調査が中断された。確かに、本年度は、かなり予定どおり調査を進めることができた。とはいえ、インタビュー日程の設定が、すべての企業と調整ができなかった。そのため、旅費ならびにインタビューのテープ起こし料金がすべて使いきれなかったため、次年度に使用額が持ち越されることになった。
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