研究課題/領域番号 |
22K01672
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
伴 正隆 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50507754)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Bassモデル / 特徴量抽出 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、購入型クラウドファンディングプロジェクト(PJ)の資金調達について、各PJ資金調達プロセスの性質を明らかにすることである。PJ開始時点から終了時点に向けて資金が集まりゆく時間的経過を何らかの関数によって表現し、その関数の規定要素を実証分析によって特定することで、「どのような特徴をもつPJが、どのようなプロセスを経て資金が調達されるか」が明らかになる。 今年度はまず、経営学分野における機械学習手法を応用した論文のレビューを行った。また、機械学習や人工知能分野で大きな関心を集めている概念である解釈可能性(interpretability)について、それは結果を事後的に説明できる程度を示すものであり、社会科学系の学術研究においては理論や仮説に適合した特徴量抽出など、分析前の解釈可能性が必要であることの提言を行い、関連する論文をレビューした。本研究課題で扱うBassモデルは、製品普及データから、事前解釈可能な形式で革新係数と模倣係数という特徴量を抽出するモデルとして捉えることができる。 また、消費者異質性の仮定のもと、消費者ごとのみならず消費者の購買機会ごとに異なる市場反応係数を組み込んだブランド選択モデルの開発も行った。具体的には、顧客の購買情報(レシート)から潜在ディリクレ配分法(LDA)によって購買機会ごとの購買トピックを抽出し、トピックが購買状況を示すと仮定して、潜在クラスの形でブランド選択モデルに組み込むもので、これにより同一個人でも購買状況によって市場反応が異なることを観測した。クラウドファンディングのデータにおいても、PJを構成するテキストデータからLDAによって何らかの特徴を抽出し、提案するBassモデルに組み込むことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Bassモデルの解釈性を損なわない形で、クラウドファンディングPJ資金調達パターンに見られる終了間際の急激な伸びを表現するモデル改良はひとまず完了している。
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今後の研究の推進方策 |
提案する、普及期間が限定されているBassモデルをPJ資金調達データに適用し、資金調達プロセスに影響する要素とそのパターンを分析する。同モデルによってPJそれぞれについて資金調達プロセスを構成するパラメータが推定されたならば、その推定値を目的変数としたベイジアン線形回帰モデルを構築する。説明変数にPJの内容を用いることで、どのようなPJで、Bassモデルがもつ革新係数が高いか、終了間際に出資が集中するかなどの関係性が推定される。
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