研究課題/領域番号 |
22K01684
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
富田 純一 東洋大学, 経営学部, 教授 (30396824)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オープン・イノベーション / 社会ネットワーク論 / 共同特許出願ネットワーク / 半導体産業 |
研究実績の概要 |
近年、新規性や複雑性の高いR&Dに取り組むオープン・イノベーションに注目が集まっているが、どのような組織編成やネットワーク構造が望ましいかについては、まだ検討の余地が残されている。本研究では、昨年度は公的なR&Dコンソーシアムのネットワーク構造とパフォーマンスの関係の解明を試みた。しかし、調査先の方針転換により、データの提供継続が困難となった。そこで、今年度は特許DBを契約し、民間のR&Dコンソーシアム、すなわち半導体産業のオープン・イノベーション・ネットワーク構造とパフォーマンスの解明を試みた。半導体産業は新規性・複雑性の高いR&Dに取り組む代表的な産業であるため、本研究の継続が可能であると判断した。具体的には、2011年から2020年にかけての10年間の半導体産業の共同特許出願ネットワークのデータを抽出して、どのようなネットワーク構造がより高い独創性につながるかを分析した。OLS(Ordinary Least Squares)およびSHAP(SHapley Additive exPlanations)分析の結果、次の5つの点が示唆された。 (1)他組織との紐帯を数多く持つ組織ほど、独創性を発揮しやすい。(2)中心性の高い組織ほど、独創性を発揮しやすい。(3)他組織との紐帯を数多く持つ組織は、中心性が高い組織よりも独創性により大きな影響を与える。(4)OLSモデルの分析結果よりも、SHAPモデルの分析結果の方が予測精度が高い。(5)SHAP分析の結果、Target valueである独創性に対して、紐帯数の貢献度が高い企業と中心性の貢献度が高い企業群が存在する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画のうち、調査先の方針転換により、公的なR&Dコンソーシアム・データの提供継続が困難となった。このため、今年度は特許DBを契約し、半導体産業のオープン・イノベーション・ネットワーク構造とパフォーマンスの解明を試みた。国際学会でオンライン発表するなど、一定の成果は得られた。しかしながら、同産業の特許データ整備のためのプログラム開発と検証に時間を要しており、データの拡張と追加分析が課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は特許データベースをネットワーク分析用に整備することを継続し、分析枠組みの精緻化および実証分析を深掘りしていくことが課題である。現状、半導体産業の特許ネットワーク分析は、2011年~2020年の10年間の分析に留まっているが、今後は分析対象期間を拡大ししていきたい。そして、公的支援R&Dと民間のR&Dコンソーシアムのネットワーク構造の比較分析を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外での国際学会参加を予定していたが、コロナ禍と怪我のため、対面参加できなかった。このため、大幅な残額が生じた。今年度は国際学会への参加および国内の特許DB使用契約継続に加え、予算の範囲内であれば、海外の特許DBの使用契約も行う計画である。
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