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2023 年度 実施状況報告書

企業の社会的責任とSDGsへの取り組みを考慮した品質管理に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01704
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

鈴木 秀男  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10282328)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードCSR / 品質次元 / 顧客満足度 / 顧客行動 / 社会的品質 / 新技術受容性 / TOE
研究実績の概要

近年、様々な顧客が企業(または組織)の倫理や持続可能な開発に対してより強い関心を持ち始めたことで、CSR(Corporate Social Responsibility)は企業の評価やブランドイメージを高める方法として注目されている。2023年度の研究実績として、日本における自動車のユーザーの視点から、知覚品質、顧客満足度、顧客ロイヤルティを関連付けるモデルにCSRや社会的品質による影響を加味した仮説モデルを設定し、影響の分析を行った。具体的には、Garvinの品質次元の評価が社会的品質を媒介して顧客満足度に与える影響を構造方程式モデリングを用いて検討した。その結果、知覚品質は顧客満足度に影響を与えるが、CSRから顧客ロイヤルティおよび社会的品質から顧客満足度については影響はなかった。一方、CSRと社会的品質は知覚品質を媒介して顧客満足度への調停効果が認められた。また、インナーのユーザーを対象に、Garvinの品質次元の評価、社会的品質、CSRが顧客満足度、顧客ロイヤルティに与える影響についても検証した。その結果、知覚品質が顧客満足度に強い影響を与えている仮説は支持されたが、社会的品質が顧客満足度に対して正の影響を与えるという仮説は支持されなかった。
さらに、航空会社のEnvironmental CSRが顧客のロイヤルティに与える影響、加えて、Flight Shameという新しい概念が顧客ロイヤルティへの関係性モデルに与える影響の仮説モデルの検討を行った。
次に、製造業の視点から、技術、組織、環境の次元からなるフレームワーク(TOE)によるデジタルトランスフォーメーション(DX)技術の受容性、CSR、知覚リスクの関係性の仮説モデルの構築を行った。そのモデルに基づくアンケート項目を作成し、2024年2月に調査を実施した。次年度では、データに基づくモデル推定および仮説検証を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度までに、知覚品質、顧客満足度、顧客ロイヤルティを関連付けるモデルにCSRおよび社会的品質による影響を加味した仮説モデルを設定し、日仏の自動車産業に適用することでそれらの影響を検討した。2022年6月に日本とフランスに在住の生活者を対象にしたオンラインアンケート調査を実施し、2022年度にモデル推定と仮説検証を行っていたが、2023年度では、日本を対象にさらにモデルの改良を行い、CSRと社会的品質が知覚品質を媒介して顧客満足度への調停効果が認めらることを示した。また、インナーを対象にして、Garvinの品質次元の評価、社会的品質、CSRが顧客満足度顧客ロイヤルティに与える影響についても検証し、知覚品質が顧客満足度に強い影響を与えていること、一方,社会的品質が顧客満足度に対して正の影響を与えるという仮説は支持されなかったことを示した。2024年度は、消費者・顧客視点から航空業界を事例にしたモデル検証、製造業の視点からDX技術の受容性、CSR、知覚リスクの関係性のモデルの推定と仮説検証を行う。

今後の研究の推進方策

2024年度は、消費者・顧客視点から、航空業界を事例にした仮説モデル検証を行う。航空会社のECSRの取り組みが顧客のロイヤルティに与える影響、加えて、Flight Shameという新しい概念が顧客ロイヤルティへの関係性モデルに与える影響の仮説モデルの検討を既に行っており、2024年度では仮説モデルに基づくアンケート項目の作成と調査の実施、データに基づくモデル推定および仮説検証を行う。
次に、製造業の視点から、DX技術の受容性、CSR、知覚リスクの関係性のモデルの推定と仮説検証を行う。TOEによるDX技術の受容性、CSR、知覚リスクの関係性の仮説モデルに基づくアンケート項目の作成と調査は2023年度に既に実施され、2024年度では、得られたデータに基づくモデル推定および仮説検証を行う。
2024年度では、これらの研究成果をANQ Congress 2024 Yokohama、APIEMS2024で発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度の残額433,478円について、年度内で有効に使用するのは難しかった。次年度にて、主に調査費や成果発表の予算に加えることで有効に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Evaluation on the Impact of Quality Dimensions for Social Perception2024

    • 著者名/発表者名
      Kenichi Shibuya, Jean Baptiste Blet, Hideo Suzuki
    • 雑誌名

      Review of Integrative Business and Economics Research

      巻: 13 ページ: 1-19

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Garvinの品質次元と社会的品質が顧客満足度に与える影響の 調査研究2023

    • 著者名/発表者名
      澁谷 健、 Jean Baptiste Blet、鈴木 秀男
    • 学会等名
      (一社)日本品質管理学会 第131回研究発表会
  • [学会発表] 社会的品質を考慮した品質要素と 顧客満足度およびロイヤルティの関係分析 -インナーを事例として-2023

    • 著者名/発表者名
      山本雄太、鈴木秀男
    • 学会等名
      (一社)日本品質管理学会 第53回年次大会研究発表会

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公開日: 2024-12-25  

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