研究課題/領域番号 |
22K01708
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
石黒 武人 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 准教授 (90527962)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 多文化ヴァーチャル・チーム / 日本人リーダー / 認知的志向性 / 対話的構築主義 / ライフストーリー・インタビュー / 時間的仲介意識 / 文化的仲介意識 / デジタル媒介意識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本企業において、多国籍メンバーが所属し、主にオンラインでやりとりをする多文化ヴァーチャルチーム(Multicultural Virtual Teams, 以下MVTsと表記)の日本人リーダー(上司)が直面する諸問題とそれらの問題に対応し、MVTsを活用するための思考プロセスを明らかにすることである。 日本人リーダーの思考プロセスを明らかにする一つの有効な手段として、ライフストーリー・インタビューを実施している。1年目(2022年度)は、3名の日本人リーダーのライフストーリーを分析し、彼らが認識している諸問題を明らかにし、また、オンライン・コミュニケーションを介して多様なメンバーと関係を構築するための認知的特徴も併せて例証した。その成果は、「多文化組織における日本人リーダーの多文化対応型認知の動態―オンライン・ワーク経験の語りを含むライフストーリー・インタビューを中心に―」(『異文化コミュニケーション論集』第21号, 33-46頁)という論文の形で公表した。 2年目(2023年度)は、1年目の成果を受け、ライフストーリーの分析をさらに進め、MVTsにおける日本人リーダーの思考プロセスを図式化した暫定版モデルを案出した。モデルは、MVTsの日本人リーダーたちが、地理的に離れ、文化的にも異なるメンバーたちとオンラインでコミュニケーションを取り、仕事を進める際に、何をどのように経験し、理解し、考えているのかといった思考プロセスを4つの層で説明したものである。上述したモデルついては、多文化関係学会にて発表し、そこで受けたフィードバックを元に改善し、「多文化ヴァーチャル・チームにおける日本人リーダーの認知的志向性に関する暫定モデル―ライフストーリー・インタビューに基づいて―」(『異文化コミュニケーション論集』第22号, 157-166頁)で詳説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
学会での発表や研究成果の論文化はできたものの、さまざまな学内の業務ならびに学会での仕事が多くあり、計画していたインタビューが実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、遅れているインタビュー調査をできる限り実施し、データ分析を進める。当初、調査協力者との適切なラポールの形成による豊かなデータの収集を目指し、対面でのインタビュー実施を重視したスタンスを取っていたが、多くのインタビューを実施するため、オンラインのインタビューも含めて、次年度の前半に、できるだけ多くの調査協力者からインタビュー・データの収集を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度、2023年度とコロナ禍もあり、活動が制限されたうえ、所属大学ならびに学会の仕事量の多さにより、予定していたインタビューを実施できず、次年度の使用額が発生した。2024年度に、遅れている研究、とりわけ、インタビュー調査を実施し、謝金や交通費として用いる予定である。また、学会発表時の交通・宿泊の費用としても使用したい。
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備考 |
異文化コミュニケーション研究において世界的に著名なDr. Milton Bennett(The Intercultural Development Institute)を所属研究機関に招へいし、多文化ヴァーチャル・チームにおける日本人リーダーの認知的志向性を理解するうえで重要な参照軸となるBennett氏の「Integration」という概念について知見を得て、学会にて共同発表した。
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