研究実績の概要 |
2023年度においては, 以下の2点について研究を実施した. (1) 有価証券保有明細データを使用した株式投資信託の運用パフォーマンス評価手法の開発 国内株式型投資信託の個別銘柄組入データを使用して, 実現リターンを(1)銘柄選択能力(Alpha, A), (2)リスクテイク(Beta, B), (3)運用コスト(Cost, C), (4)デザイン(Design, D)の4要素に分解することにより, 従来手法と比較してより精緻な運用パフォーマンスの評価手法を開発した. (2) 特許ポートフォリオ情報を用いた日本企業のGreen Transformation(GX)評価指標の開発 特許庁が開示したGXTI「グリーン・トランスフォーメーション技術区分表」(Green Transformation Technologies Inventory)に準拠して, 企業が保有する有効特許権から, GX評価指標 "GXS"を計測した. GXSと企業の財務特性, ならびに株価との関係を分析することにより, 日本企業の環境技術競争力が株式市場において, どのように織り込まれているかを実証的に明らかとすることを試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有価証券保有明細データを使用した運用パフォーマンス評価手法, 企業が保有する有効特許権ポートフォリオ情報に基づくグリーントランスフォーメーション(GX)評価指標データベースの構築までを終えたので, 研究課題の最終年度となる2024年においては, 環境技術特許に優れた企業を国内株式投資信託がどの程度組入れているのかについての実証分析を実施する予定.
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今後の研究の推進方策 |
2022, 2023年度の研究により, ESG総合, 環境, サステナビリティなどのテーマ特化型ESGファンドの運用評価を実施するための, 評価手法, データベースの準備が整った. また2023年度末に国内株式投資信託有価証券保有明細データベースを更新した. 2024年度については, 特にESG, GXなどのテーマ特化型株式投資信託の運用評価に関する実証分析を実施する予定である.
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