研究実績の概要 |
東洋経済海外進出企業総覧のWEB版2009年より2023年までの中国への日系子会社3,323社の収支(順調、収支均衡、欠損)を従属変数として、子会社の資本金、売上高、従業員数、親会社らの派遣社員数、親会社のROE,親会社の売上高、親会社からの出資比率を独立変数として多項ロジット分析をすると、子会社の売上高、従業員数、派遣社員数、出資比率が統計的に有意な正の関係があることが示される。特に、日本からの派遣社員数が多くなると、より高度な1%の水準で有意となり、親会社からの出資比率も正であることを考察すると、日本からの子会社への収益性への影響が大きいことが指摘できる。 2009年より2023年までの米国への日系子会社については、子会社の収支を独立変数にして、子会社の資本金、売上高、従業員数、派遣社員数、親会社のROE, 売上高、CSR,出資比率を独立変数とする分析では、子会社の売上高、派遣社員数、CSRが正で高度に有意となり、親会社のROEは有意水準が10%で正で有意となっている。子会社の従業員数と収益性は有意な関係はないが、派遣社員数だけは統計的に有意な正の関係があることは、米国での日系子会社の特徴である。 全世界の日系企業の2009年から2023年までのデータについて7,893社の子会社の収支は、子会社の従業員数、派遣社員数、親会社の売上高、出資比率と正の有意な関係があることが示された。独立変数としてCSRを追加すると、欠損値が多く有効ケース数は1,241件となるが、CSRの収支に対する正の有意性は指摘できる。 次に、我が国での外資系企業の2023年の自己資本純利益率を従属変数とし、従業員数、外資比率、資本金、株主数を独立変数として回帰分析をすると、収益性に対して統計的に有意となる変数は一つもない。他の年度のデータ、他の変数を追加して今後展開する方向である。
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