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2023 年度 実施状況報告書

グローバル市場主義進展下のポスト働き方改革

研究課題

研究課題/領域番号 22K01723
研究機関神戸大学

研究代表者

上林 憲雄  神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00243296)

研究分担者 庭本 佳子  神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (70755446)
平野 光俊  大手前大学, 現代社会学部, 教授 (10346281)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードグローバル市場主義 / ポスト働き方改革 / 人的資本開示 / 人的資本経営 / 人間 / 働きがい / 人的投資 / 日本的経営
研究実績の概要

グローバル市場主義のもとで日本企業がどういった状況に置かれているか,とりわけポスト働き方改革時代の人事システム及び組織の在りようについて,前年度の成果を踏まえながら,とりわけ人的資本経営の観点から検証を行った。
その結果,いくつかの新しい事実が明らかになった。第一に,上場企業に対し人的資本開示が義務付けられたものの,多くの企業において開示されている項目は女性比率や女性役員比率,残業時間等の極めて形式的な数値にとどまっており,優れた人的資本経営に結びつくような指標についてはほとんど開示されておらず,いまだ手つかずの様子見状態にあることが明らかになった。第二に,今後の日本企業における人的資本が有用で活躍できる存在となるためには,組織の戦略の方向性と人事管理業務とを連携させることの困難さを経営層が認識し,組織内の共通言語である数値に生身の人間の声という質的な情報をいかに乗せていくのかを深く考える必要があることがわかった。加えて,第三に,人的資本への単なる投資にとどまるのではなく,資本をいかに活用していくかという側面が重要であることも明らかになった。現況では,人的資本への投資の側面ばかりに注目が行きがちであるが,投資は経営にとっては出発点に過ぎないのであり,他資源とも結びつけながらいかに経営目的達成へ向けて努力していくかという視点がこれからは必要となるということである。
これらの成果は,2024年3月2日に「これからの日本の人的資本経営を考える」と題して開催されたシンポジウムにおいても一部公開されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画通り,日本企業より人的資本やその働き方に関するデータを収集し,分析が進められており,おおむね順調に進展していると評価している。

今後の研究の推進方策

これから人的資本経営の普及実現へ向けて、ポスト働き方改革における人的資本経営のあり方として,①見える化促進プロジェクト(人的資本の開示の在り方および可視化・指標化の推進)、②働きがい向上プロジェクト(可視化・指標化の推進の一方で、蔑ろにされがちな、働く人々の働きがいや幸せの追求)、そして③新しい人的資本経営の実装プロジェクト(見える化促進と働きがい向上の同時最適化とその深化・発展)を具体的に進めていきたいと考えている。
とりわけ,日本企業における組織・人事の現況を各企業が自身で診断できるような自己診断システムを開発し,それらを踏まえ,各社に対するコンサルテーションや,問題点の解決手法の分析,理論化等を可能な限り進めていけるよう,具体的に構想している。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に7711円の端数が出たため,次年度に持ち越した。

備考

2023年5月に産業界と包括連携協定を締結し,その活動拠点として神戸大学大学院経営学研究科内に設置された人的資本経営研究教育センターとタイアップしながら,研究を進めている。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The uncertainty‐handling function of project leaders' political behavior in breakthrough innovation2024

    • 著者名/発表者名
      Miyao Manabu、O'Connor Gina Colarelli、Niwamoto Yoshiko
    • 雑誌名

      Journal of Product Innovation Management

      巻: 1 ページ: 1-26

    • DOI

      10.1111/jpim.12716

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 日本におけるHRM理論の受容プロセスー学界および産業界の動向に着目して―2023

    • 著者名/発表者名
      庭本佳子・上林憲雄
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 227-6 ページ: 89-107

  • [雑誌論文] 働く人のウェルビーイングを実現する心理的健康職場づくりー健康経営とキャリア自律支援の連携のすすめー2023

    • 著者名/発表者名
      平野光俊
    • 雑誌名

      OMNI-Management

      巻: 6 ページ: 4-11

  • [雑誌論文] 経営戦略にコミットする自律的管理職の育て方2023

    • 著者名/発表者名
      上林憲雄
    • 雑誌名

      Learning Design

      巻: 2023-5/6 ページ: 26-29

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] サステナブル経営の実現を目指して ―経済的価値と社会的価値の統合―2023

    • 著者名/発表者名
      日本学術会議第25期経営学委員会「SDGsと経営実践・経営学・経営学教育を検討する分科会」
    • 雑誌名

      日本学術会議経営学委員会記録

      巻: 2023 ページ: 1-26

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新型コロナウイルス感染症パンデミックの経営実践・経営学・経営学教育への影響2023

    • 著者名/発表者名
      日本学術会議第25期経営学委員会「新型コロナ感染症による経営実践・経営学・経営学教育への影響を検討する分科会」
    • 雑誌名

      日本学術会議経営学委員会記録

      巻: 2023 ページ: 1-34

    • オープンアクセス
  • [学会発表] VUCA時代の人財育成 ―”考える力”を育むために―2024

    • 著者名/発表者名
      上林憲雄
    • 学会等名
      神戸市危険物安全協会令和5年度講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] これからの人事労務研究と日本労務学会 ―歴史を踏まえ未来を展望する―2023

    • 著者名/発表者名
      上林憲雄
    • 学会等名
      日本労務学会 人事労務研究を深掘りする全6夜
    • 招待講演
  • [学会発表] 人的資本経営の現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      米田晃・上林憲雄
    • 学会等名
      ソーシャルマーケティング研究会 第18回
  • [学会発表] 日本企業における女性総合職のインクルージョン認識に管理者行動が与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      北村雅昭・船越多枝・平野光俊
    • 学会等名
      日本労務学会
  • [図書] A Pioneer of Management Research and Education in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Norio Kambayashi, Kyohei Hirano, Izumi Mitsui
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      Springer
  • [図書] 多面体としての経営学2023

    • 著者名/発表者名
      経営学史学会編・上林憲雄・庭本佳子ほか
    • 総ページ数
      182
    • 出版者
      文眞堂
  • [図書] 日本の人事労務研究―日本の人事労務研究者は何を考えてきたか―2023

    • 著者名/発表者名
      日本労務学会編 梅崎修・江夏幾多郎編著,上林憲雄ほか著
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      中央経済社
  • [図書] LIVE講義!経営学の扉2023

    • 著者名/発表者名
      大手前大学経営学部編・平野光俊ほか著
    • 総ページ数
      236
    • 出版者
      中央経済社
  • [備考] 神戸大学経営学研究科 人的資本経営研究教育センター

    • URL

      https://b.kobe-u.ac.jp/hcmrec/

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公開日: 2024-12-25  

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