研究課題/領域番号 |
22K01726
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
松野 奈都子 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (40732475)
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研究分担者 |
伊藤 真一 目白大学, 経営学部, 専任講師 (40825626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非営利組織 (NPO) / アクター・ネットワーク理論 / クロスセクター・コラボレーション / 翻訳 (translation) |
研究実績の概要 |
NPOによるクロスセクター・コラボレーションの先行研究は、1. 非協力的なパートナーをいかに巻き込むかが検討されていない、2. 支援対象者をはじめとしたコラボレーションに関連する多様なアクターのエージェンシーや相互作用が十分に検討されていないといった問題点を抱えている。そこで2022年度は、クロスセクター・コラボレーションの分析にアクター・ネットワーク理論を用いることによって、先行研究が抱える限界を克服できることを主張した。 この主張を展開するために、2022年度はNPOとその関係者たちにインタビュー調査を実施した。本研究の研究課題に取り組むためには、NPOのスタッフのみでなく、NPOの活動に非協力的な組織からの一次データが不可欠であり、2022年度はそれらの情報を得ることができた。調査については半構造化インタビューを基本とし、6名のインフォーマントに複数回調査を行った。 また、先行研究のレビューについては、NPOのクロスセクター・コラボレーション研究をレビューし、上記の先行研究の課題を浮き彫りにした。加えてアクター・ネットワーク理論の文献をレビューすることでその特徴やNPOのクロスセクター・コラボレーション研究が抱える問題をいかに克服することができるかを検討した。 インタビューで収集したデータは、すべて書き起こし、2次データと併せてアクター・ネットワーク理論をメタ理論としつつ分析を試みた。研究成果は論文にして学会誌に投稿した。現在は査読の修正指示に従い論文を修正している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
聞き取り調査によって、NPOのスタッフ以外の関係者からも一次データを得ることができた。本調査から得たデータをもとに論文として執筆し、投稿段階に至ったため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の聞き取り調査の結果から、NPO内部において自身のミッションを再検討するという現象が生じていることがわかった。そこで2023年度は、NPOの外部に対する働きかけに関する聞き取り調査に加えて、NPOの内部での働きかけに関しても聞き取り調査を実施する予定である。これにより、NPO内部での翻訳行動について分析することが可能になると考えられる。得られた成果をもとに、海外学会での発表と論文の執筆・投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、本来予定していた海外学会での発表を取りやめたため、次年度使用額が生じる結果となった。2023年度においては、海外学会での発表、聞き取り調査のための出張を予定しているため、次年度使用額は旅費として使用する計画である。
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