研究課題/領域番号 |
22K01735
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
柴田 明 日本大学, 商学部, 准教授 (10550098)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ドイツ企業 / ファミリービジネス / 財団 |
研究実績の概要 |
令和4年度は、ドイツのファミリービジネスと財団に関する文献の収集と検討、整理を行い、ドイツのファミリービジネスにおける「財団」の役割や機能、位置づけや意義の現状の確認を行った。とりわけ、ドイツのファミリービジネスに関する比較的新しい資料を用いてその概要を明らかにした上で、ファミリービジネスにおける「財団」に関わる文献を集中的に検討し、財団の定義や形態、ドイツにおける財団の位置づけなどを確認しながら、財団所有のファミリービジネスの全体的な特徴を検討した。令和4年度の研究は、比較的新しい文献も適宜参照しながら、財団の全体像を包括的に明らかにした点に特質がある。そこで明らかになったことは以下のことである。まず財団は財産の集合体であり、公益あるいは私益の目的を持ち、独立した組織を持っていることである。財団は法的に強く規定されておらず、様々な法律や規程によってゆるく規制されているのみであり、財団の設立者が設定する目的が重要であるとされる。その目的は多様であるが、大まかには家族、理念、経済性の理由が挙げられる。財産は設立時に拠出されるもので、現金や有価証券、不動産などが該当する。組織は財団を運営する機関であり、「執行役会」が設置義務のある機関である。運営上は、設立の目的に基づいて作成される「定款」が重要となる。また、財団には受益者がおり、定款において規定される。さらに、財団は税優遇があり、その点も設立のメリットとなっている。そして、財団には多種多様な法形態を持っており、その全体像についても明らかにした。とりわけファミリービジネスに関しては、財団合資会社と二重財団が特徴的であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は文献や資料の収集、整理、検討を主な課題としており、その点で概ね順調に経過していると判断している。ただし、その成果を本年度中に公表することができなかった。令和5年度に公表予定であるが、その点でやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度も引き続き文献の収集を行い、ドイツのファミリービジネスにおける財団の役割や機能に関する最新の動向についての検討を行う。また令和4年度に検討した、ドイツのファミリービジネスにおける財団の役割に関する基礎的な論考を所属機関の紀要に投稿する予定である。さらに、令和5年度は学会や研究会で研究報告を行うとともに、後半にはドイツに渡航し、研究協力者との面談、打ち合わせを行うことで、ドイツのファミリービジネスにおける財団の役割に関して、最新の動向を実際に確認、分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度はSARS-CoV-2の影響により、学会や研究会などの出張が実施できず、主として書籍などの収集に使用したが、その際の価格調整により生じたものである。次年度も引き続き文献収集を行うが、同時に学会や研究会への出張を行い、さらにドイツへ渡航して動向を検討する予定であり、それらによって計画通り使用する予定である。
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