研究課題/領域番号 |
22K01758
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西本 章宏 関西学院大学, 商学部, 教授 (10613185)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デジタル消費 / 心理的所有感 / スマート・オブジェクト / アッセンブリッジ理論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、デジタル消費における消費者心理と購買行動を検証することで、消費者行動研究の視点からデジタル空間上に新しい市場が創造されるメカニズムを明らかにすることである。令和5年度は、スマート・オブジェクトと消費者の間に生じる相互作用経験を中心に2つの研究を遂行した。 1つは、スマート・オブジェクトに対する消費者の製品アップグレード意思決定と心理的所有感の関係性についてである。パネルデータを用いて、どのような消費者が、どのタイミングで製品アップグレード意思決定を促進するのかについて明らかにした。また、それら製品アップグレード意思決定を抑制させる効果が心理的所有感にはあることを明らかにした。 もう1つは、アッセンブリッジ理論の視座からスマート・オブジェクトと消費者の間に生じる相互作用経験について検討を行った。実際にスマート・スピーカーを利用しているユーザーに調査を実施し、スマート・スピーカーのインテリジェンス特性がユーザーにポジティブな相互作用経験を与え、その帰結としてウェルビーイングな生活体験を得ていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り研究活動が遂行されている。具体的には、2つの研究に対して、スマート・オブジェクトのユーザーにインタビュー調査を実施し、どのように生活の中でスマート・オブジェクトと相互作用を引き起こしているのかについて検討した。また、そこからユーザーに対してインターネット調査を実施し分析を行った。その結果は、令和6年度に開催される日本消費者行動研究学会で研究報告をすることが決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度の研究成果を踏まえ、心理的所有感を起点としつつも、研究の焦点をスマート・オブジェクトと消費者の相互作用経験に移していく予定である。この研究文脈において、研究計画当初より着目していた消費者の知覚拡張を取り上げていく。また、当初の研究計画では、デジタルツイン(たとえばARとVRを活用したリアルとデジタルの二面世界)の状況下などを想定していたが、当該研究期間中にAIの急進的な普及が起こったこともあり、AIが実装されたスマート・オブジェクトを研究対象として、消費者の知覚拡張を促進させる心理的要因や心理的所有感の役割について検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度は、インタビュー調査や研究打ち合わせの一部をオンラインで実施することができ、想定よりも出張機会を減らすことができたため、使用額も減らすことができた。令和6年度は、引き続きスマート・オブジェクトと消費者の相互作用経験を検討してくため、スマート・オブジェクトを設置した実験室を準備し、消費者調査を実施することに使用したいと考えている。また、国際・国内学会で研究成果を発表するための旅費としても使用することを検討している。
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