研究課題/領域番号 |
22K01759
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
青木 慶 甲南大学, マネジメント創造学部, 准教授 (50761045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ユーザーコミュニティ / 共創 / 知識共有 / Web3 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ユーザーコミュニティ(組織に拠らない個人のつながりを基盤とするネットワーク)において、個人知がどのように共有され、深化し、社会に有用な価値をもたらすのかというメカニズムを明らかにすることである。本研究では、ユーザーコミュニティでのアイデア共創に参画する個人を対象に質的データを収集し、企業におけるナレッジマネジメントで蓄積されてきた知見を用いて分析を行い、個人知が深化し、次世代へと継承されるプロセスの理論モデルを構築する。これにより、ユーザーコミュニティにおけるイノベーションを促進し、個人知が持続的に活用される社会の実現に寄与することを目指す。 本研究では、所属組織に拠らず自らの知識や経験を活用して、共創活動に参加する個人に焦点を当てる。2022年度は、2つの事例研究を行った。ひとつは消費者参加型のアイデアコンテストを対象とした。コンテストで複数の受賞歴をもつ個人に、インタビューを実施した。その結果、コンテスト参加者同士は、さまざまなところで顔を合わせる機会があり、自然発生的に協力体制がうまれて、知識を共有しあっている事象が確認された。 もうひとつは、オンラインサロンに集まったメンバー同士が協力して、プロジェクトを遂行する事例である。ここではオンラインサロン主催者を核に集まったメンバー同士が、自発的にチームを編成し、知識を補足し合う事象が確認された。 Web3の発展に伴い、今後は中央集権的な体制から、個人が自分の意思でプロジェクトを選んで働く体制への移行が指摘されているが、はからずもその事象が確認された。この点は、今後の知識共有のあり方を考えるのに、非常に意義のある研究結果であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、2022年度はアイデアコンテストの受賞者および、オンラインサロンで活動する共創参加者へのインタビューを実施した。当初の予定では、後々国際比較をできるように、グローバルに活動を展開するコミュニティに焦点を当てるつもりで考えていたが、アイデアコンテスト・オンラインサロンともに、海外でも実施されている一般的な活動であるため、それらの調査対象がグローバルに活動をしていなくても、調査対象として適切であると判断した。 また、当初は1つの事例で複数のインタビューを実施して、次の事例研究に取り組むつもりでいたが、複数の対象へのアプローチが可能であったため、並行して調査を行うことにした。GTAの分析自体は、事例ごとに実施するため、この点についても特に問題なはいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
調査の結果、Web3.0の発展が本研究に大きく影響しそうだということが判明した。そのため、当初の研究計画には入れていなかったが、Web3.0との関わりも考慮しながら、今後の研究を進める予定である。そのため、国際学会などに積極的に参加し、情報収集に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回、学会活動の一部としてインタビューを行ったことなどにより、インタビューイーへの謝金が発生しなかったことなどにより、差額が生じた。次年度以降に、使用する計画である。
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