研究課題/領域番号 |
22K01773
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
水野 誠 明治大学, 商学部, 専任教授 (10361304)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顧客 / 熱狂 / ファン / 購買履歴データ / ツイートデータ / 職業 / 社会階層 / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
本年度に関する計画では、すでに入手済みの音楽コンサート・チケットの顧客データや酒類の購買履歴データの分析から始める予定であったが、前者について、データ提供元の企業の経営陣が代わり、論文発表に向けた研究の許諾が得られなくなった。また昨年度は、データソースとして期待していたツイートデータのAPIによる収集が、Twitter本社の経営陣の変更により、今後困難になる可能性が出てきた。このような環境変化を踏まえて、ツイートについてはすでに収集済みのデータを重点的に分析していく方向に路線転換し、また酒類を中心とした購買履歴データの分析は予定通り進めていくことにした。 申請者が過去に行ったスポーツファンの熱狂に関する研究では(水野誠他編著『プロ野球「熱狂」の経営科学』東京大学出版会、水野誠他編著『プロ野球「熱狂」のメカニズム』東京大学出版会)、熱狂を生み出す要因の1つとして、各個人のアイデンティティを生み出す帰属集団の重要性が示唆されている。本研究が扱う消費やコミュニケーションに関する広範な文脈では、職業あるいはそれに基づく社会階層がアイデンティティを生み出す可能性が高いと考えられ、過去に収集されたユーザーの職業とリンクしたツイートデータを分析対象の候補とした。 第1段階として行った職業やそれに基づく社会階層とツイートの関係については、データの収集と分析を瀧川裕貴(東京大学)と共同で行った。その成果については数理社会学会で報告し、主に社会学の専門家との意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音楽コンサート・チケットの顧客データが利用不可になり、ツイートデータの入手について今後不安が増大しているが、すでに収集し、利用上問題ないと考えられるツイートや購買データを用いた分析は順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
22年度に着手した職業-社会階層とツイートの関係分析をさらに深める。そのために国際学会での報告なども予定している。酒類カテゴリを中心にした購買データの分析も、同じ観点から進めることが望まれる。そのため購買履歴データのパネルに関して、職業等の自己同一性(アイデンティティ)に関わる質問紙調査を行うことを試みる。いうまでもなく、従来のマーケティングリサーチで質問される職業コードでは、こうした分析は不可能である。より詳細な職業コードのもとで、いかに必要とする職業・社会階層情報を収集するかが検討課題になる。 他方で、本研究において中心的なテーマである熱狂現象を、ツイートや購買行動のデータからいかに推測するかの方法を構築する必要がある。ツイートからは関心の変化、購買データからは買物行動の変化が測定され、そこから「熱狂」を定義できるが、その外的妥当性を保証する方法も検討したい。 熱狂という集合現象のメカニズムを理論的に把握するために、エージェントベースモデルによるシミュレーションにも着手したい。流行現象についてはすでに先行研究があるので、まずはそれらのアイデアを踏襲したモデルの構築から着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
円安等が原因の海外出張のコスト増、計画していたデータ収集の容易性の見通し変化などにより、いくつかの支出を延期することになった。
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