研究課題/領域番号 |
22K01781
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
竹島 貞治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50312533)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シカゴ学派 / Vatter / Staubus / Sorter |
研究実績の概要 |
本年度は、シカゴ学派の3名の研究者(Vatter・Staubus・Sorter)の会計理論(資金理論・意思決定有用性理論・事象理論)のうち、Vatterの資金理論(Vatter[1947])を取り上げ、その現代的再評価の課題に取り組んだ。具体的には、Vatterの資金理論について先行研究のレビューを行うとともに、Vatter理論についてこれまで未解明であった、複式簿記、会計等式、残余持分、評価論、財務諸表の連携に関するVatterの見解を明らかにした。また、Vatter[1971]を考察対象として取り上げ、Vatterの勘定分類論について考察を行った。その結果、Vatter[1971]において示されている勘定分類は収支記録の観点から展開されているが、最終的には財貨フローが基礎になっているという点を明らかにした。さらに、現代会計の二つのアプローチである資産負債アプローチ・収益費用アプローチと資金理論との比較を行い、Vatterの会計理論の現代的意義について考察を行った。本研究の成果については、2023年1月28日に開催された国際会計研究会(於:愛知学院大学)において報告を行った。 上記の研究成果に加え、本年度は「Sorterの事象理論の現代的再評価」の課題についても取り組んだ。具体的には、その他有価証券の評価差額の会計処理についてのSorterの見解を考察し、Sorterの論理展開を明らかにするとともに、時価評価が行われないときと時価評価が行われるときの事象理論における会計構造を明らかにすることにより、事象理論はわが国の個別財務諸表において採用されている全部純資産直入法を支持すると考えられる、という結論を得た。本研究の成果については、『會計』第202巻第4号において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、シカゴ学派の三者の会計理論のうち、Vatterの資金理論について再評価を行い、Vatter理論について未解明であった、複式簿記、会計等式、残余持分、勘定分類、評価論、財務諸表の連携に関するVatterの見解を明らかにするとともに、資産負債アプローチ・収益費用アプローチと資金理論との相違点を明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、本年度に実施することができなかったVatter理論に関する海外有識者(Robert Bloom)との国際共同研究に取り組むことによって、Vatter研究のさらなる深化を図り、海外ジャーナルへの投稿を目指したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:予定していたヨーロッパ会計学会への参加を取りやめたため。 使用計画:今年度予定しているアメリカ会計学会への渡航費に使用する予定である。
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