研究課題/領域番号 |
22K01790
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荒田 映子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (00386351)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 減価償却 / 協力ゲーム / 公理化 / 法と経済 |
研究実績の概要 |
2022年度は,前回の科研費による研究(25590104:協力ゲーム理論とシミュレーションによる会計制度設計)の成果を改善することと,「公理化」の会計研究における意義に関する検討を行った。 前回の研究プロジェクトでは,数理システム論の研究者との共同研究であったため,数学的に厳密なモデルを構築することが可能となったが,協力ゲーム理論の文脈においてそれがどのように位置づけられるのかについてなどの理解が不十分であった。9月にゲーム理論ワークショップ(慶應義塾大学)で報告し,多くの協力ゲームの専門家からコメントをいただき,それらを反映して,再投稿しているところである。 また,減価償却のあり方を協力ゲームを用いて分析する研究はごくわずかであり,特に「会計学」の論文としては皆無であるため,その意義について検討し,整理を行った。上記のワークショップにおける専門家との意見交換に加え,1月の研究会では,法と経済学の分野で協力ゲームを用いた研究報告を拝聴するなど,協力ゲームの制度分析への適用の仕方を相対化した。特に,協力ゲームの公理的アプローチについて,専門家と議論を繰り返すことで,理解を深め,会計研究にそれを適用する意義について検討をおこなった。また,この研究においてはこれまで専門家との対話を重視してきたが,2022年度は,会計学の研究会でも報告することで,会計学からみても,ゲーム理論の観点からみても,筋の通る研究となるよう検討を進めている。その成果の一部を日本会計研究学会第81回全国大会(8月27日 東京大学)の統一論題で報告し,その後それを論文にまとめ,『會計』にて公表している(荒田,2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協力ゲームを会計研究に適用する意義について,より深く検討を行ったため,具体的な公理化に入る作業は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初後半に行う予定だった定額法や定率法といった具体的な償却方法の公理化を,前倒しで先に行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張旅費が先方から出たものもあり,予定より少なく済んだ。次年度は対面の学会,研究会が申請時の見込みよりも多くなると思われるため,その旅費に充てる予定である。
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