研究課題/領域番号 |
22K01802
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
堀井 悟志 立命館大学, 経営学部, 教授 (50387867)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 管理会計 / DX / デジタル・トランスフォーメーション / 管理者教育 |
研究実績の概要 |
プロジェクトの1年目として,AI,BI,ビッグデータといったDXにかかわる管理会計研究の現状を整理したうえで,ある日本企業のDXへの取り組みを紹介し,DXによる管理会計実践・研究・教育の展開可能性を検討した。その結果,ビッグデータやAIといったデジタル技術の進展による構造的な管理会計の変化に関する知見の蓄積はほとんどなされていない。ケーススタディ研究によると,DX推進によって原価態様が変化し,それによって原価管理の変化とともに資源配分やその意思決定制度の変化をもたらすこと,また,デジタル技術の進展により,管理会計計算は格段に精度と速度が高まると考えられる。一方で,ただ計算精度が高まり,その導入の容易さが高まるだけで,これまでの管理会計理論と大きな変化はないかもしれないが,複雑化し,不確実性が高まった現代の経営環境において,予測計算,標準計算の精度と速度が高まることには実務的には大きな意味があり,それによって,原価が低減するほか,例えば,予算管理の期中管理や原価管理の在り方など,これまでとは異なる管理会計の影響を観察できる可能性はある。また,データの蓄積と共に,精緻な計画立案が実現すると考えられ(結果として,管理者の分析・計画立案能力が落ちる可能性もある),さらには現場のデジタル化には,業務プロセスの変革としても,非会計情報の質的進展と量的拡大という意味でも急進的な変化があり,事業活動の透明性は高まることが期待されることから,何より非会計情報と会計情報の連携による高度な分析(隠れた関係性の発見など)による事業理解の促進と課題解決の可能性といった管理会計分析の高度化も考えられる。加えて,管理会計とデジタル技術を統合できる構造に加えて,その人材が必要であり,見方を変えれば,DXの進展によって,デジタル技術とのかかわりで管理会計知識を習得するような管理者教育が必要になっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の到達点の整理およびそれを受けたケーススタディの実施から,第一段階の理論化まで進めることができた。また,より多面的・総合的に検討するための継続的なケーススタディとして,7社もの企業において調査が可能な状況を築けている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,現在進めている7社におけるDXおよびその管理会計への影響に関する定性的研究を引き続き推進し,多面的にDXのプロセスおよびそのプロセスにおける管理会計との関係性を緻密に調査する。それによって,DXが管理会計に及ぼす影響について,より洗練された新たな理論の構築を目指す。そして,それをもとに仮説導出を行い,AIを中心としたデジタル技術の導入とその管理会計への影響に関する定量的研究の調査設計に取り掛かる。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続きコロナ禍の影響もあるなか,海外での学会発表の機会に恵まれなく,調査先企業の協力もあり,定性的研究としてはZOOMを活用したオンラインでの面談が大半であった。そのため,調査研究としては順調に推移した一方で,研究費の使用としては,当初の予定に比べて,大幅に少なかった。次年度は,引き続き,ZOOMを活用しながらも,観察など,企業を訪問する回数を増やすとともに,海外での学会発表を通じた知見の洗練化などを積極的に図る予定である。
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