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2022 年度 実施状況報告書

ESG時代における社会環境ディスクロージャーと正統化戦略

研究課題

研究課題/領域番号 22K01824
研究機関立命館大学

研究代表者

東 健太郎  立命館大学, 経営学部, 教授 (20535843)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード正統化戦略 / グリーンウォッシュ / 資本市場 / ESG
研究実績の概要

資本市場における正統化戦略を考えるうえで、重要な先行研究群の1つにグリーンウォッシュがある。大手新聞等のデータベースでの検索結果によると、日本国内においてはグリーンウォッシュに関する議論は長期間にわたって低調であったが、再起になってESG投資の台頭に伴い、最近になって急激に注目が高まっている。そのような背景を踏まえ、今年度は、グリーンウォッシュに関連する過去の研究をレビューした。
過去のグリーンウォッシュ研究においては、グリーンウォッシュは大きく2つの異なったレベルにおいて議論されることを明らかにした。1つはシンボリックなレベルであり、このレベルにおいては企業がグリーンウォッシュを実施しているかどうかを問題にする。もう1つは認識レベルであり、このレベルにおいては、企業がグリーンウォッシュを実施していると情報利用者に認識されているかどうかが問題になる。この2つのレベルは必ずしも一致するものではなく、グリーンウォッシュを実施していなくても、グリーンウォッシュと誤認される企業、グリーンウォッシュを実施していても、そのことが利用者には発見されていないケースもある。実証的な結果によると、認識レベルにおけるグリーンウォッシュは、商品の購入意図やレピュテーションに対して、基本的にはネガティブな影響を与えるという。一方で、シンボリックなレベルにおけるグリーンウォッシュでは、株価等に対してポジティブな影響が報告されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

正統化戦略にかかわる研究の現状をレビューするなど、概ね計画の通りに順調に進展している。

今後の研究の推進方策

グリーンウォッシュについては、先行研究においては開示する側の問題として扱われることが多い。一方で、最近の研究では、情報利用者の認識の問題、企業側におけるグリーンハッシングの行使(グリーンウォッシングとの批判を避け、環境問題に関して沈黙する)、グリーンウォッシュの社会に対するポジティブな影響なども指摘されている。本研究においては、批判的な立場に終始しないように心がけ、社会全体にとってのあるべき姿を建設的に追求していく。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は勤務先の制度を利用し、在外研究をカリフォルニア州立大学にて実施することができた。そのため、設備の整備、旅費、データ購入等に当初の計画からの変更が生じた。
次年度以降の使用計画としては、差額分を利用してのデータベース購入、海外学会等での報告を検討している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] California State University/Villanova University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      California State University/Villanova University
  • [雑誌論文] Shareholder reaction to corporate philanthropy after a natural disaster: an empirical exploration of the “signaling financial prospects” explanation2023

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Azuma, Nicolas M. Dahan & Jonathan Doh
    • 雑誌名

      Asia Pacific Journal of Management

      巻: - ページ: forthcoming

    • DOI

      10.1007/s10490-023-09876-7

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] グリーンウォッシュ研究の現在と今後の方向性, 建設的な議論を目指して2023

    • 著者名/発表者名
      東健太郎
    • 雑誌名

      サステイナブルマネジメント

      巻: 22 ページ: 22-35

  • [雑誌論文] 社会環境情報ディスクロージャーにおける災害2023

    • 著者名/発表者名
      東健太郎
    • 雑誌名

      社会関連会計研究

      巻: 34 ページ: 139-153

  • [雑誌論文] Role of Principles for Responsible Investment in Strengthening Institutional Investors and Its Influence on Climate Change Disclosure2022

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Azuma, Akira Higashida
    • 雑誌名

      Academy of Management Proceedings

      巻: 1 ページ: -

    • DOI

      10.5465/AMBPP.2022.13776abstract

    • 査読あり
  • [学会発表] An Exploration of the Determinants of Corporate Philanthropic Disaster Response: Whether and How Much2022

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Azuma, Nicolas Dahan
    • 学会等名
      International Association for Business & Society 2022 Annual Conference
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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