研究課題/領域番号 |
22K01825
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
加藤 千雄 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (90319567)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 経営者予想 / 悲観的バイアス / 会計的保守主義 |
研究実績の概要 |
本研究では、決算短信時に発せられる経営者による業績予想(以下、業績予想)の特性分析を目的としている。2000年代中盤までを対象とした以前の研究では、期首における経営者予想は、概ね楽観的(前期比でみると増収増益を予想するが、当期の実績は期首の予想レベルに到達しない)な企業が過半であった。しかし2010年代まで計測期間を延長すると、楽観的な傾向の顕著な低下がみられている。そこで、本研究では、楽観的予想からの転換が、保守的な会計アプローチによるものか、経営者が悲観的傾向に転じ、将来への期待を下げているのかという点の識別を目的に設定している。 今年度は初年度にあたり、データの整理を行い、直近までのデータの拡張を行った。コロナ禍という特殊な外的要因を別としても、楽観的傾向の低下とういうトレンドが継続している事実を改めて確認した。併せて、文献調査を行い、保守的傾向と悲観的性向の概念の整理に取り組んでいる。しかしこの点については、現時点で明確な解答を得ていない。次年度でまず取り組むべき課題として積み残しとなった。 また当初計画では、数量的データの解析をメインにした分析を想定していた。ただ、最近の自然言語処理技術の進展は著しい。そこで本研究でも、定性的な分析、具体的には有価証券報告書や決算短信における記述内容を自然言語処理により分類する方法が考えられる。そこで本研究でも定性的分析を実行可能なものかを模索しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先行研究では、悲観主義と(会計上の)保守主義の区分が明確ではなく、新たに両者を識別する概念の構築が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
①早急に保守主義・悲観主義の概念の整理を進め、②自然言語処理技術の取り組みの会を判断の上、③分析作業に入っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた定量的な分析手法に加えて、自然言語処理による定性的分析の可否を模索している。この2つのアプローチでは利用するデータが異なるため、今年度はデータの購入を見送ったため。今年度で見極めをつけ、いずれかへのデータの取得を計画している。
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