研究課題/領域番号 |
22K01840
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
渡辺 恵 杏林大学, 保健学部, 講師 (70827708)
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研究分担者 |
江頭 説子 杏林大学, 医学部, 准教授 (20757413)
八木橋 宏勇 杏林大学, 外国語学部, 准教授 (40453526)
北田 真理 杏林大学, 総合政策学部, 准教授 (80759465)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ひとり親家族 / 子育て支援 / つながりやすさ |
研究実績の概要 |
本研究では、多様化・流動化する家族形態を踏まえ、ひとり親家族の子育てに焦点をあて、なぜ、ひとり親家族が「支援」につながりにくいのかを探求する。そのことを通じて、ひとりでする家庭内ケア(シングルケア)を対象とした「支援」の理論構築を目指すものである。 1年目である昨年度では、ひとり親家族支援をしている団体を抽出し、支援活動の分類・整理し、ひとり親家族が活用できる子育てに関わる社会的資源の実態を探った。その結果、支援の75%が対面実施であること、経済・物質的援助型(43%)や交流等の非介入的支援型(38%)の支援が多く、親または親子を対象とした支援であることがわかった。 2年である本年度では、昨年度末から開始したひとり親家族支援をしている団体へのヒアリング調査を継続している。昨年末に実施した調査データの分析の結果、社会的資源への接点がオンライン上であることがひとり親家族の支援につながることへの躊躇いを払拭しうるのではないか、という仮説が浮かび上がった。反面、オンラインでの情報収集に関わる感度の良さがつながりやすさを左右する課題も伺えた。そこで、ひとり親家族の当事者が立ち上げ、運営しており、オンライン上での活動を活発にしている団体を選定し、ヒアリング調査の実施に向けて準備中である。また、ヒアリング調査後に実査を予定していたひとり親への量的調査ではwebによるアンケート事業を実施する業者2件に問い合わせし、中学生以下の子どもを持つひとり親の回答出現率及び、回答者の特性等を尋ねた。副業としての利用状況があることやオンラインに接続するゆとりがあること等、回答者の属性の偏りが生じる可能性があることが確認された。生活条件を統制しつつ、オンラインの活用と支援へのつながりやすさとの関連性を検討することが今後の課題としてあがった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度の計画のひとり親家族の子育て支援に関わるNPOや団体等にヒアリング調査を実施及び活動実態の把握については遅れが生じている。現在、1団体のテープ起こしと分析を終えた後、残りの団体へのヒアリング調査については日程調整の段階にある。また、ヒアリング後に実査予定のwebアンケート調査については業者選定と質問項目作成の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度前半に、ヒアリング調査を継続し、子育て支援の特徴、ひとり親家族の支援への接点とつながりの継続性に関する仮説等を抽出する。令和6年度後半には、ヒアリング調査で得られた知見を踏まえ、webによるひとり親への大規模アンケート調査を実施し、データを収集する。Webアンケート調査では、主に、ひとり親家族による支援要請行為を促す要因と阻害する要因を探る。なお、webアンケート調査については回答者属性の偏りが大きくなる場合には、業者のモニター以外の対象者に拡大して実施することを検討する。 ひとり親へのインタビュー調査に関しては、ヒアリング調査及びwebによる量的調査の知見を踏まえ実施する。インタビュー調査では、主にひとり親家族と支援者との間に支援関係の構築を促進する要因と阻害する要因を検討する。なお、インタビュー調査の協力者の獲得に関しては、ヒアリング調査を実施した団体を通じての紹介に加え、web調査を通じてインタビュー調査への協力の可否を尋ねて、協力者を獲得することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度にて、ヒアリング調査の実施が進まず、それに伴いアンケート調査が未実施であったことから、人件費・謝金、その他の経費がほとんど未使用に終わった。ヒアリング調査は次年度に継続実施し、予定通り大規模アンケートを実施予定であるため、人件費・謝金、その他の経費は予定通り使用する。また、量的調査実施に伴う物品の購入予定であったが、統計ソフトについてはアップデートされる可能性があるため、調査実施年度である次年度に購入するよう、購入のタイミングを変更した。
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