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2023 年度 実施状況報告書

医師の労働環境、ワークライフバランスの観点から見た医療組織の人的資源管理の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01846
研究機関同志社大学

研究代表者

久保 真人  同志社大学, 政策学部, 教授 (70205128)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードワークライフバランス / 感情労働 / ヒューマンサービス / 対人サービス / 深層演技
研究実績の概要

ヒューマンサービスや対人サービス従事者を対象に,ライフライン法を用いたインタビュー調査を実施している。ライフライン法は,横軸に年齢、縦軸にプラス-マイナスを記した紙を手渡し、自分の過去の職業生活を振り返って、自分が思う自分のキャリアの浮き沈みを線で描いてもらう手法である。インタビュー前にこの作業に取り組んでもらうことにより,調査協力者に,自らのキャリアを振り返ったうえで,転機となった出来事や経験について思い出してもらうことができる
この手法を用いて実施したインタビュー調査の結果,本研究のテーマである組織的な人的資源管理やワークライフバランスの問題について,いくつかの知見を得たと同時に,人を相手にする仕事に特有の事柄,感情労働やそのスキルについての知見も得た。
たとえば,仕事と家庭の両立が,様々な葛藤を引き起こすことは「ワークライフコンフリクト」として,研究対象となってきた。その中で,長時間労働が常態化している職務では,家庭生活との両立が困難になることが指摘されてきたが,今回インタビュー対象となった職種の内,自律性の高い専門職に従事している人にとっては,家庭の存在が長時間労働の歯止めとして機能していることがわかった。逆に単身者の場合は,ある意味自分が望むだけ仕事に従事することができ,人によっては,仕事に依存することで生活が成り立っている,いわゆるワーカホリックの状態に陥るリスクが高いことがわかった。
また,サービスを提供する際,自分の感情をコントロールし,相手(顧客,依頼者,患者など)に適切な感情表出を行う,感情労働においても,深層演技と呼ばれている高度なスキルを獲得し,質の高いサービスを継続して提供している従事者の話を聞くこともできた。今後これらの知見についても集約して,体系化していく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

インタビュー調査の対象者のうち,医療や介護に関わる人たちへの調査が当初の予定より遅れている。理由は,コロナ禍の影響で,医療や介護の現場に部外者が入りにくい現状が継続しているためである。

今後の研究の推進方策

インタビュー調査を継続し,その結果を基に,医療や介護など人に関わる仕事に従事している人たちのワークライフバランスに関係する要因の構造化に取り組む。この結果をもとにして,定量的な調査の計画,実施につなげていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

インタビュー調査の進捗が予定より遅れているため,旅費や謝金などの経費が次年度に繰り越されている。今年度は,前年度予定されていたインタビュー調査の実施と定量調査の計画,実施をおこなう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] わが国の対人援助職のバーンアウト予防を考える:教職・看護職・心理職から2023

    • 著者名/発表者名
      今井田貴裕・久保真人・小泉隆平・磯和壮太朗・今井田真実・福井義一
    • 雑誌名

      ヒューマン・ケア研究

      巻: 23 ページ: 1-14

  • [雑誌論文] 日本の弁護士のストレス要因についての検討:司法制度改革の影響をふまえて2023

    • 著者名/発表者名
      久保真人
    • 雑誌名

      同志社政策科学研究

      巻: 24 ページ: 31-41

    • DOI

      10.14988/00029415

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ゲーミフィケーションはモチベーションを生み出すか?2023

    • 著者名/発表者名
      久保真人・岸本好弘・後藤誠・吉川肇子・田中あゆみ
    • 雑誌名

      産業・組織心理学研究

      巻: 37 ページ: 95-102

    • DOI

      10.32222/jaiop.37.1_95

    • オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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