研究課題/領域番号 |
22K01855
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
除本 理史 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
|
研究分担者 |
成 元哲 中京大学, 現代社会学部, 教授 (20319221)
後藤 忍 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70334000)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 福島原発事故 / 経験の継承 / 震災伝承施設 / 伝承活動 / 多視点性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、福島原発事故に関して、多様な立場から教訓の検証と経験の継承を可能にするために、民間の伝承施設が果たす役割を明らかにし、それらの施設の持続可能性を高めるための施策について検討することである。そのために、(1)展示内容の設立主体別(「官」「民」)比較、(2)施設利用者・運営者の多様な声の表出とそのアーカイブ化、(3)施設運営上の課題と求められる政策的支援の検討、の3本柱で研究を進めている。福島原発事故だけに限定せず、東日本大震災全般やその他の「困難な過去」(difficult past)の経験継承などについても比較検討の対象とした。 今年度は、研究組織メンバーによるオンライン打ち合わせをおこないつつ、本研究プロジェクトも連携して、2023年1月21日、東日本大震災・福島原発事故の資料保存・活用や伝承活動に取り組む方々(公立施設および民間施設・団体)を招き、民間の伝承施設である原子力災害考証館furusato(福島県いわき市)を会場に、トークセッション「福島の経験を継承する」を開催した(本プロジェクトの協力団体である公害資料館ネットワークの主催)。そのなかで、多様な立場からの取り組みが報告され、相互に交流された。このセッションへの参加を通じて、福島で震災伝承に関わる多くの関係者とネットワークを構築することができた。その前段として、研究代表者が、原子力災害考証館furusatoの意見交換会「最高裁判決を超えて 多視点から原子力災害を考える」(2022年11月2日、福島県双葉町で開催)に登壇し、議論に参加した。それらを通じて、原子力災害の教訓・経験の継承における「多視点性」(multiperspectivity)の重要性について関係者の認識を深めることができた。 また、書籍の出版、論文や学会発表などを通じて、研究成果を学界や社会に発信するよう努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年1月21日に福島県いわき市で、トークセッション「福島の経験を継承する」を開催し、本研究組織メンバーも全員参加して、多様な立場からの取り組みに学び、議論することができた。また、福島で震災伝承に関わる多くの関係者とネットワークを構築することができた。COVID-19の影響などもあり調査の一部が次年度に繰り越され、また、他の資金を活用できる部分もあって、旅費などの繰り越しが生じたものの、研究自体はおおむね順調に推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画にしたがって、他の「困難な過去」の事例とも比較検討しつつ、(1)「官製」施設の展示に関する検討、(2)施設利用者・運営者の多様な声のアーカイブ化、(3)民間施設に対する政策的支援の検討、を進める。とくに民間施設のなかでもすでにサステナビリティの問題が浮上している事例もあり、そうしたケーススタディをおこなう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響などもあり調査の一部が次年度に繰り越され、また、他の資金を活用できる部分もあって、旅費などの繰り越しが生じたものの、今年度において速やかに執行できる予定である。
|