研究課題/領域番号 |
22K01856
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
近藤 理恵 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (60310885)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 社会的苦悩 / シングルマザー / 経済資本 / 文化資本 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、リスク社会のなかで不安定な状況にある、日本、韓国、フランスのシングルマザーが抱える、経済資本、文化資本、社会関係資本に関わる3つの「社会的苦悩(la souffrance sociale)」(P・ブルデュー)(①低収入、食糧不足、高額な住宅費といった経済資本に関わる苦悩、②低学歴や、シングルマザー以外の人々との性向(disposition)の違いによる矛盾<ハビトゥスの矛盾>といった文化資本に関わる苦悩、③職場の脆弱な人間関係や希薄な友人関係といった社会関係資本に関わる苦悩)の実態について明らかにするとともに、これらの問題を解決するためのNPOと企業による支援のあり方を比較検討することにある。 令和4年度においては、シングルマザーを支援している韓国の複数のNPOに対するインタビュー調査をもとに、韓国のシングルマザーが抱えている3つの社会苦悩と、それらの苦悩に対するNPOと企業による支援の現状と課題に関して明らかにした。具体的には、近年、韓国において国家による支援状況が以前と比べ改善してきているため、シングルマザーの経済資本、文化資本、社会関係資本に関わる状況は以前と比べると良くなってきていること等が明らかとなった。また、日本、韓国、フランスのシングルマザーの経済資本、文化資本、社会関係資本の状況に関する基礎的資料を入手し、3カ国のシングルマザーが置かれている状況について比較検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍であったが、韓国のNPOに対するインタビュー調査を実施することができ、それにより韓国のシングルマザーの経済資本、文化資本、社会関係資本の状況等について把握することができるとともに、関係資料を入手することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
日本、韓国、フランスのシングルマザーの経済資本、文化資本、社会関係資本に関わる社会的苦悩と、その苦悩を解決するためのNPOと企業による支援状況について、①日本、韓国、フランスのシングルマザーに対するインタビュー調査、②日本と韓国のシングルマザーに対するアンケート調査、及び③日本、韓国、フランスのNPOと企業に対するインタビュー調査を行う。その上で、NPOと企業が、シングルマザーの経済資本、文化資本、社会関係資本に関わる社会的苦悩をどのように解決できるかについて明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のなかで、令和4年度は、韓国のNPOに対するインタビュー調査は実施できたが、シングルマザーに対するインタビュー調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。令和5年度は、日本、韓国、フランスのシングルマザーに対するインタビュー調査を実施する。
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