研究課題/領域番号 |
22K01876
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
須川 亜紀子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90408980)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 2.5次元 / ファン研究 / グローバルファンダム / アイデンティティ / 若者文化 / デジタル文化 / アニメ研究 |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度実施できなかった海外調査も含め、2.5次元文化に関するファンのインタビュー、グループディスカッションを実施した。 ・インドネシア大学日本学部の学生11名(男性5名、女性6名)に対し、フォーカスグループ討論を行った。特に、マンガ・アニメの受容の共通点(10代前半頃に地上波テレビで日本の子供向け番組を視聴、その後youTubeなどでファンサブやスキャンレーションなど違法アップロードによる視聴、現地語翻訳マンガの購読)があった。SNSのファン活動に関しては、使用言語によって発言や態度が変化するという貴重なデータが取れた。 ・インドネシアのジャカルタ、デポック、バンドン地域在住の、社会人女性6名、女性研究者2名に個別インタビュー、を行った。学生時代から日本のアニメ・マンガ・アイドル・コスプレ等を嗜好し、SNSにて二次創作も行うアクティブなファンたちである。特にコスプレイヤーのうち、ヒジャブを身に着けた上で行う「ヒジャブコスプレ」は、少数ながら、ローカルな宗教とアニメに描かれた神道などの宗教・哲学との交渉を実践しており、アイデンティティの偽装の多様性を観察できた。これは、アイデンティティとコミュニケーション関係を考える上で貴重なデータである。 ・日本の調査として、まず熊本市で開催されたコスプレイベントに参加し、コスプレイヤーに同行しつつ、インタビューを行った。中国のゲーム「原神」コスプレのチーム2組においては、素性を隠匿したコミュニケーション、SNS(X, TikTok)上での態度、カメラ担当とのやり取りを通じ、アイデンティティの偽装と隠蔽がコミュニケーションを促進させていることが確認できた。 ・日本の調査として、様々な2.5次元舞台の劇場に行き、ファンの参与観察を行った。コロナ禍を経て、ファンの交流の様子が変容している点が多く見受けられた。 来年度も引き続き調査を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は昨年できなかった海外調査(インドネシア)を実行でき、また国内の調査も計画通りに進んだ。新型コロナウィルス感染症の位置づけが5月に第5類に移行したことにより、国内外での対人調査がかなり緩和されたため、対象者であるファンの活動が活発化し、特に秋以降の調査がスムーズに進んだ。今後も継続して計画を遂行したい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、カナダと北欧(デンマーク、フィンランド、ノルウェー)での調査を計画している。当初の計画であったマレーシアとスウェーデンは、現地協力者の都合により、2024年度に実行できないことになり、代わりに北欧ではノルウェーを対象国とした。カナダに関しては、当初の計画案では予定していなかったが、現地協力者が得られたことと、これまで行ったアメリカの調査との比較研究を可能にするために変更する。また、引き続ぎ文献調査、リスト作成作業を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、1つ目に、コロナ感染症が第5類に移行する前に、海外渡航の対人調査ができず、調査開始時が秋以降となったこと、2つ目に当初予定していたマレーシアの現地協力者が都合により協力不可となり、マレーシアへの出張を取りやめたことがあげられる。次年度に北欧、カナダ、国内調査に充てる予定である。
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