研究課題/領域番号 |
22K01885
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
松岡 洋子 東京家政大学, 人文学部, 教授 (70573294)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エイジング・イン・プレイス / コ・プロダクション / アセットベースト・アプローチ / インフォーマル資源 / ボランティア / 高齢者ケア専門職 / 介護支援専門員 |
研究実績の概要 |
今年度は、インフォーマル資源の固有の価値、コ・プロダクション(CPと略す)の成功要因・失敗要因を明らかにすることを目的として、海外調査(オランダ=蘭国、イギリス=英国)を行なった。蘭国では、アムステルダム市を中心として、市役所や複数の福祉組織(ボランティアを組織化して生活支援などを行なう組織)を訪問して、7名(ボランティアとコーディネータークラスの職員)とインタビューを行なった。英国では、社会的処方を受けて地域資源につなぐリンクワーカー、地域の居場所を提供するチャリティ団体職員にインタビューを行ない、その場での見聞についてフィールドメモをとった。 その結果、CPに関するパラダイムシフトの中核には「『専門職から見た課題』から『本人にとって大切なこと』へ」の変化があること、「問題が深刻化する前の早めの介入の重要性への共通認識」が強く存在していることを確認した。また、生活課題としては、貧困、住宅、健康・介護などが多く、医療・介護だけではなく、広い領域にわたってインフォーマル資源を活用している実態を確認した。 ボランティアの固有性では「時間をかけて本人のウェルビーイングを捉える」(英国では「大切なこと」、蘭国では「ハピネス」と表現)、「家族・友人に代わる支援」などが抽出された。 CPの成功要因は「行政の明確なビジョンと実践」「価値認識での共通基盤(専門職がボランティアの価値を評価)」「制度としての共通基盤」「地域資源の充実」「両者を結ぶコーディネーターがボランティア側に存在」「共に出会い・話し合う場の存在」が抽出された。失敗要因は、「専門職によるボランティア軽視」「専門職が結果を急ぐ態度」などであった。 日本ではケアマネジャー、小規模多機能事業所職員にインタビューを行なったが、「地域資源(ボランティア)の不足と未周知」「ボランティアと専門職を繋げることの困難性」が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
海外でのCPについての成功要因・失敗要因に基づいて、日本のケアマネジャーへのインタビューを行う計画であるが、前回(2022年)協力いただいた成果をまとめた論文の審査合格に予想以上の時間がかかった。この結果を提示することで、次の依頼へと結びつけようと予定していたため、前に進める事ができなかったのが遅れの要因である。海外調査については、コロナが5類になったこともあって実行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
予算を見ながら海外調査を継続し、日本におけるケアマネジャーを対象とした調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査は2024年3月に実施済であるが、海外調査費用は次年度使用予定であるため。
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