研究課題/領域番号 |
22K01950
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
柴 喜崇 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (40306642)
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研究分担者 |
安齋 紗保理 城西国際大学, 福祉総合学部, 助教 (60649151)
植田 拓也 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90902601)
有阪 直哉 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (40759403)
新井 武志 目白大学, 保健医療学部, 教授 (70450559)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 重度化予防 / 介護スキーム / デイサービス |
研究実績の概要 |
従来の介護は,日々利用者への個別ケアに多くの時間を使っており,あらたに重度化防止に資するケアに時間を割く余裕がないのが現状である。そこで,利用者及び介護職員とともに遠隔に配置された専門職等とが協働する,各専門領域の評価結果に基づく個別フィードバックから,ケア内容を協議した上で実践する,新しい介護スキームを考えた。 本研究は,地域密着型サービス職員と遠隔に配置された専門職等が協働し利用者の能力に応じたケアを行うための介護スキームを開発し,①介護スキームの実行可能性および②実施した介護スキームによる事業所利用者の重度化防止効果を実証研究により明らかにすることで,介護職員と専門職等とが協働した介護スキームの有効性を検証することを最終的な目的としている。 研究対象者(介入群:利用者22名、介護職員9名、対照群:利用者15名、介護職員7名)において結果、質的分析においては対象者の自立支援に重要な「意欲」「生活」「目標」といった発言が介護職員からもみられるようになった。特に初回から中間にかけての変化が顕著であったことがあげられる。量的分析においては統計的に有意ではないが、介護職員の自立支援に関する知識、測定やケアの実践に対する自信度の向上が介入群においてみられた。 2年目以降の課題として、平均化してしまうと見えにくくなる個別データ(個人レベル)の変化についても検討を加えることで、支援のあり方について有益な情報を得る。その際、脱落や疾病の発症・悪化、入院、死亡、退所など、イベントデータの蓄積し検討する必要がある。評価(測定)の正確性を高める。調査期間の変動がないよう配慮する必要がある等があげられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目に計画した項目は下記の通りであり、2項目とも当初予定をおおむね達成することができた。 ①本研究で実施する介護スキームにおいて,専門職等との協働を容易に行えるよう遠隔システムを活用する。遠隔データベースシステムは,事業所でのデータ入力,専門職等へのデータ提示,専門職等が作成したフィードバックのデータ出力等を含むものを開発し実際に運用した【FB.v0.4.xlsx】。 ②某市の事業所を対象とした介護スキームの実施と修正を行う。研究対象者(介入群:利用者22名、介護職員9名、対照群:利用者15名、介護職員7名)に対して、介護スキームの実施期間は6か月間とし,3か月ごとに利用者評価,個別フィードバック,フィードバックの協議,フィードバック内容に基づいたケアを実際に実施した。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目は、介護スキームの実施(介入):某市の事業所を対象とし,介護スキームの実施を行う。データベースシステム利用者の増加に伴いシステムのスケールアップを行う予定である。調査は事業所利用者に対し,介入前(初回評価),介入3か月後(中間評価),介入6か月後(最終評価)に行い,基本属性,ADL,身体機能,生活機能,要介護度等を評価する。介入群,対照群とも同様の内容を調査する。介入群では,1年目に実施・修正し実行可能性を高めた介護スキームを実施する。 最終年度は、評価・分析,介護スキームの構築:介護スキームの実行可能性を検証するために,研究2年目に介護スキームの実施を行った事業所職員を対象に質的研究を実施する予定である。質的研究は施設ごと職員に半構造化インタビューにてフォーカスグループインタビューを行い,インタビューガイドは,①新たな介護スキーム実施に対する感想,②新たな介護スキームを実施したメリット,③新たな介護スキームを実施したデメリット等を含める。量的研究は,実施した介護スキームによる事業所利用者の重度化防止に対する効果を検証するために,研究2年目に取得した介入群,対照群の初回評価,中間評価,最終評価のデータを用いて介入による効果の検証を実施する予定となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終的な次年度使用額は、158,299円となった。事業者との対面での打合せがWEBでの会議などの変更により、当該年度の当初の予定より少額での研究計画実施となった。研究2年目は、1年目に確立した介護スキームの実証期間となっている。研究を推進するに当たり不測の事態に備えが必要になることが予想されるため予備費として使用する計画である。
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