研究課題/領域番号 |
22K01956
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
木村 由美 獨協医科大学, 看護学部, 研究生 (30768114)
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研究分担者 |
小嶋 章吾 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 特任教授 (90317644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ケアラー / 統合失調症 / 家族 / 生活 |
研究実績の概要 |
統合失調症者と同居する家族 (以下、ケアラーと表記)が自分らしい生活を取り戻すプロセスを明らかにする。本研究ではケアラーの生活の様相を捉え、彼らの「つよさ」「しなやかさ」に着目し、社会相互作用の中で自分らしい生活を取り戻すプロセスを明らかにする。それによりケアラー支援モデル構築の基盤とする。 本研究は大きく以下の3つの研究で構成される. 研究1. 統合失調症者の家族研究について文献レビューから精神障害者家族研究の動向を調査し、ヒューマンケア研究学会誌Vol13(1)に投稿し掲載されている。(査読アリ)さらに、1985年から2017年にかけ過去6回に及び実施された精神障害者家族への生活実態調査をまとめ、時間的経過に伴う生活実態の特徴を捉えた。 研究2.統合失調症者家族のケアラーとしての生活様相を明らかにすることを目的として、2021年6月から既に実施している精神障害者家族会へのフィールドワークを継続し、20名を対象として漸次的に分析。10名にインタビューを実施した。計画書の段階ではエスノグラフィーを採用したが、統合失調症者とケアラーの実際のやり取りの確認ができず、文化の検討が困難であった為、佐藤郁哉の質的データ分析法を採用しケアラーとしての生活様相を明らかにした。また、同居するケアラーに焦点を当てたが20か月のフィールドワークの中で、入退院やグループホーム移行といった生活の変化があり同居に拘らず生活様相を明らかにした。 研究3.ケアラーが自分らしい生活を取り戻すプロセスをモデル化することを目的とした。研究2で8名の対象者を選定しインタビューを実施。研究2・3を実施する中で、生活を取り戻すといった表現ではなく、1度構築した生活が崩れてしまった状態から、ケアラーとして新たな生活を再構築している姿が見受けられ、自分らしい生活を再構築するプロセスとして理論化を図っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1:文献レビューは査読付き学会誌へ投稿し掲載されている。(ヒューマンケア研究学会誌Vol13.No1) 研究2(国際医療福祉大学倫理審査承認番号21-Ig-205):20か月のうち計22回のフィールドワークを実施。フィールドノーツおよび10名のインタビューデータから、統合失調症者家族のケアラーとしての生活様相は、527のセグメント、43の定性的コード、18の焦点的コード、9の概念的カテゴリーが生成された。ケアラーとしての生活様相を生活把握の枠組みである生活意識、生活行動、生活条件を分析テーマとして分析した結果、生活意識としては、【病気に抱く緊張感】【情緒的な共感】【共生可能感】【自分なき後の懸念】【社会参加の期待】の5つ、生活行動としては、【翻弄されながらの対応】【対応可能感に基づくケア】【自分なき後の準備】の3つ、生活条件としては、【ケア維持に影響する資源】が概念カテゴリーとして分類された。結果の概念図作成を終えている。現在、論文化をすすめ学会誌への投稿予定。(ヒューマンケア研究学会誌2023年5月17日締め切り) 研究3(国際医療福祉大学倫理審査承認番号22-Ig-160):分析焦点者をケアラーとして自分らしい生活が送れるようになった統合失調症者家族・分析テーマを統合失調症者家族がケアラーとして自分らしい生活を再構築するプロセスとした。8名の研究協力者へのインタビューの実施を終えている。データはM-GTAを採用し分析。概念およびカテゴリーのブラッシュアップを目的としてM-GTA研究会での発表に申請中である。論文としてまとめ学会誌の投稿を検討している。(日本精神保健看護学会誌もしくは日本家族看護学会誌)
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今後の研究の推進方策 |
・6回の精神障害者家族への生活実態調査の分析結果を論文化した上で学会誌投稿 ・研究2の学会誌投稿 ・研究3の分析過程において、M-GTA研究会での報告を経て、結果は学会誌投稿
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査の日程について数人同日に実施したため。また安価な業者での物品購入が出来たため。今後、フィールドワークの継続と学会発表等の交通費として使用する計画である。
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