研究課題/領域番号 |
22K01958
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
宇野 耕司 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (60707735)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 産後ケア / 育児不安 / 児童虐待 / 社会関係 / ピアサポート / プログラム評価 |
研究実績の概要 |
形成評価を行う条件を整えるために,以下の研究成果を得た。 1つ目は,効果モデル5アイテムのうちのプログラムのインパクト理論とプロセス理論と効果的援助要素の内容的妥当性について研究協力団体のファシリテーターからの聞き取りを行いながら微修正を行った。これをもってGP事例調査とした。2つ目は,効果的援助要素を測定するためのフィデリティ評価尺度を開発した。3つ目は,アウトカム・フィデリティ評価の実施準備を進め,協力団体のうち3団体から協力を得ることができ,2024年度に評価を行う準備ができた。4つ目は,アウトカム・フィデリティ評価に付随して,フィデリティ評価に必要な参加率や中断率を集計するためのあらたな集計表を開発した。5つ目は,新規にプログラムの実践できる場を開拓し,1団体から実践の申し出を受けた。新規団体を含め既存の研究協力団体のスタッフに対するファシリテーター養成講座を開催した(養成人数=17)。プログラムの実践の場を既存の4か所から5か所に増やすことができた。6つ目は,プログラムのフィデリティを担保するために,ファシリテータ養成講座の受講者を対象とした①ファシリテーション見学研修(参加人数=4)と②ファシリテーションライブスーパービジョン研修(参加人数=4)を開発・実施し,実践の見学とスーパービジョンシステムを組み込んだ体系的な養成システムに発展させた。7つ目は,スーパービジョンを含めたファシリテーター養成の実践から,ファシリテーション見学研修におけるスーパービジョンの構造と機能について新たな研究の着眼点を得ることができ,論文にまとめる作業に着手した。8つ目は,実践家参画型によるプログラム評価の実施に向けた準備を進めた。2024年度の4月,7月,9月と定期的に実践家参画型評価ができるよう計画をブラッシュアップし,協力団体から参加の内諾を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由1:効果モデル5アイテムのうち,評価ツールと実施マニュアルの暫定版の修正・確定が遅れている。 理由2:効果モデル試行版の実施が遅れた。なぜなら,効果モデル暫定版に基づいたアウトカム・フィデリティ評価の実施が2024年度に持ち越されたためである。しかし,2024年度における実施についてはすでに準備が整っており,着手できる状態になっている。
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今後の研究の推進方策 |
1つ目は,2024年度は,効果モデル試行版の確定のためのアウトカム・フィデリティ評価を実施する。データ収集を進めながら,6か月時点で評価結果をまとめる。 2つ目は,実践家参画型ワークショップを3回ほど開催し,アウトカム・フィデリティ評価の実施に関係する評価実践の課題を明確にし,効果的援助要素の修正の必要性を実践家と共に検討しながら,妥当性のあるフィデリティ評価尺度にするための基礎的データを収集する。 3つ目は,ファシリテータ養成講座,ファシリテーション見学研修,ファシリテーション・ライブスーパービジョン研修を実施し,プログラムのファシリテーションにかかわるフィデリティを高めながら,ファシリテーターを養成し,実践回数の増加をめざす。 4つ目は,広域的事業所評価(産後ケア)の対象となる効果モデル関連プログラムを選定する。 5つ目は,プログラムのファシリテーターの中から評価実践に関心のある人を募集し,評価ファシリテータ養成にかかる検討を開始する。 最後に,評価ツールと実施マニュアルの暫定版を書き上げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
1つ目は,2023年度に実施できなかったアウトカム・フィデリティ評価の実施および分析にかかる経費,ファシリテーター養成にかかる経費,新規の実践現場の開拓およびプログラムの実施にかかる経費にあてる。 2つ目は,研究成果を広く公開するための産後ケアと子育て支援関係団体を対象としたシンポジウムの開催,研究成果を公開するためその他の事務にかかる経費にあてる。 3つ目は,当初予定した計画に基づいて研究を進めていくために,2024年度から研究分担者1名を研究班に迎え,当該研究分担者の研究遂行に必要な研究費にあてる。
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