研究課題/領域番号 |
22K01960
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
國重 智宏 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (80584383)
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研究分担者 |
稲沢 公一 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (50278165)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | かかわり / 援助関係 / 長期入院精神障害者 / 退院支援 / 地域移行支援 / 精神保健福祉士 / 相談支援専門員 |
研究実績の概要 |
2023年度は、(1)長期入院経験者に対するインタビュー調査、(2)相談支援専門員に対するインタビュー調査、(3)アンケート調査に向けた準備、(4)先駆的実践を行っている地域のソーシャルワーカーに対するインタビュー調査、を実施した。 (1)長期入院経験者に対するインタビュー調査:相談支援専門員に協力していただき、2024年3月にインタビュー調査を実施した。インタビュー調査では、退院に向け、相談支援専門員と一緒に行ったこと、その中で印象に残ったこと、退院後の支援で印象に残っていることなどについて話をしていただいた。インタビューデータについては、データ起こしを行い、質的研究法を用いて分析を行う予定である。 (2)相談支援専門員に対するインタビュー調査:(1)の調査で協力していただいた相談支援専門員に対して、退院時に長期入院者と一緒に行ったこと、その中でも特に印象に残っていること、現在のかかわり方について半構造化面接を実施した。こちらのインタビューデータもデータ起こしをした上で、質的研究法を用いて分析する予定である。 (3)精神障害者を対象としたアンケート調査に向けた準備:相談支援専門員からいただいた助言を基に調査票の改訂作業を行っている。特に当事者視点からのアウトカムの設定についての検討している。 (4)先駆的実践を行っている地域のソーシャルワーカーに対するインタビュー:2024年3月にインタビューを実施し、個別支援での「かかわり」を通して地域づくりにつなげていくまでのプロセスについて聞き取りを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)インタビュー調査の遅れについて:インバウンドによる旅費の高騰と予約の難しさ、実習巡回などとの調整により、夏のインタビュー調査が難しく、春しか調査を実施できていない。加えてインタビュー調査のフィールドに選定した地域(北海道十勝圏域)では、長期入院者の地域移行が進んでいるため、年々インタビュー対象者を探すことが難しくなっている。 (2)アンケートの遅れについて:当初考えていた長期入院経験者を調査対象者にした場合、協力者の数が少ないことに加え、直接アクセスすることが難しく、調査対象や規模を再検討することになった。また、精神障害者視点からアウトカム設定について、現在先行研究を精査しており、調査票の完成までもうしばらく時間がかかる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、以下のように調査を実施する予定である。 (1)インタビュー調査の分析:これまで聞き取りができたインタビューデータを基に質的研究法を用いて分析を行う予定である。当初は、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下、M-GTA)を使用する予定でいたが、M-GTAを用いた分析を行うために必要な調査対象者の確保が難しいことに加え、事例の個別性が見えにくくなるデメリットもあるため、分析方法を変更して実施する。現在はTEMなどの使用を検討している。12月を目途に一旦分析を終了し、その結果を踏まえ、追加のデータ収集などについて検討を行う。 (2)調査票の作成:次年度の早い時期にプレ調査が実施できるように、アウトカムの設定などを終え、プレ調査用の調査票を完成させる。 (3)調査結果の報告:これまでの調査結果をまとめ、書籍等で報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
委員会など学内業務が増えたため、負担を軽減させるため、当初の計画ではなかったバイアウト制度を利用している。そのため、その経費である200000円分を前倒し申請することになった。 使用計画としては、地域移行支援を利用して退院した元長期入院者3~5名程度を対象にインタビュー調査を実施する.引き続き北海道十勝圏域の相談支援事業者に協力していただき,1~3月に調査を実施する予定である.データ分析には,研究対象がヒューマンサービス領域で,社会的相互作用を持ち,プロセス的性格を備えている事象の分析に適したM-GTAを採用する予定である.分析精度を向上させるため,援助関係の研究者である研究分担者による指導を受ける.また,アンケート調査の実施に向け,調査票を完成させる.
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