研究実績の概要 |
非行少年は一般少年よりも表情認知の正答率が相対的に低く,怒り,悲しみ,嫌悪,恐怖表情の混同が起こりやすいことが指摘されている(西木ら,2022)。しかし,他者感情を理解するためには,状況から感情を推測する能力(笹屋,1997)や認知機能の関連(山村ら,2001;福田,2000)が指摘されている。本研究では,非行少年が表情を混同しやすい怒り,悲しみ,嫌悪,恐怖に焦点を当て,非行少年の他者感情理解の特性を表情認知能力,状況把握力,認知機能の3面から明らかにすることを目的とする。本研究によって非行少年の対人コミュニケーションの困難さが解明され,円滑な社会復帰の手がかりとなることが期待できる。本研究は,4年計画で行う。2023年度は,少年の他者感情理解の特性を把握するために,(1)表情認知課題の作成,(2)状況把握課題(パイロット版)の作成を行う予定であった。2023年度において,(1)表情認知課題の作成は,申請者が作成した表情認知課題(西木ら, 2018)から,怒り,悲しみ,嫌悪,恐怖の4表情をピックアップした表情認知課題を新たに作成する予定であった。諸事情により大学生を対象とした予備調査が実施でず,表情認知課題の完成に至っていない。(2)状況把握課題の作成は,吉川・(2017),Hayashi(2019)を参考にして課題文と漫画を作成する予定であった。漫画作成の依頼先の選定,大学生を対象とした予備調査が実施できず,状況把握課題の作成に至っていない。
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