研究課題/領域番号 |
22K02001
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
中川 敦 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (30609904)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 遠距離介護 / 会話分析 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、初年度より継続している会話分析・社会福祉学・福祉社会学の先行研究の検討を行なった。並行して、すでに実施している調査データの整理を行なった。あわせて本年度は、初年度より部分的に開始している、離れて暮らす子どもが行なう依頼の会話分析について、本格的な分析を行った。ケアマネジャーが作成したケアプランについて、専門家に割り当てられているアセスメントとニーズの判断を、専門家ではない一般の人間である離れて暮らす子どもが望ましさの提示というかたちで行ない、その修正や追加を求めることは、ケアマネジャーの「専門性への挑戦」という、デリケートな性質を持っている。こうした「専門性への挑戦」という側面をはらむ依頼を、離れて暮らす子どもはどのように行ない、またケアマネジャーはどのようにして受け入れて(あるいは拒否して)、離れて暮らす子どもとケアマネジャーの間で高齢者のニーズとして認められていくのか(いかないのか)を、そこで用いられている技法とともに明らかにした。特に今年度、浮かび上がった重要な視点は、望ましさの提示を主節で明示する場合と、その主節を省略する場合の違いである。望ましさが明示されるはずの主節を省略することは、離れて暮らす子どもとケアマネジャーの間で、その内容がすでに共有されていることを示すプラクティスと捉えることができる。このプラクティスが、実際にどのような相互行為的な意味があるかを検討することが今後の課題であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた分析が一定の進展を見せたため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、遠距離介護者とケアマネジャーの電話を中心にした分析を実施する予定である。加えて、積極的に対面コミュニケーションの分析も取り込んだ検討を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
慎重に研究費を使用する過程で、一部を次年度に回せることが可能になった。消耗品などの購入に利用する予定である。
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