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2022 年度 実施状況報告書

生活困窮者の就労支援における「研修訓練型」と「仕事創出型」の比較分析研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K02008
研究機関大阪公立大学

研究代表者

五石 敬路  大阪公立大学, 大学院都市経営研究科, 准教授 (30559810)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードコロナ / 貧困 / 生活困窮 / 格差
研究実績の概要

本研究の目的は、生活困窮者の就労支援における「研修・訓練型」と「仕事創出型」について、支援の有効性の観点から、比較分析研究を行うことにある。当初の計画では、「研修・訓練型」として日本の生活困窮者自立支援制度における就労準備支援事業、韓国の国民基礎生活保障制度における自活勤労事業を想定し、「仕事創出型」として韓国の自活企業、社会的企業、社会的協同組合を想定した。2023年3月のソウルにおける韓国社会保障情報院主催のワークショップにおける発表(Introduction of KPS Visualizing Tool: For better understanding of employment services in Korea and Japan, Korea and Japan Workshop of Korean Social Security Information Service in Seoul, March 28th, 2023)は、これらの仮説について説明をするととともに、その検証するツールとしてKPS Visualizing Toolの内容と意義を紹介するものであった。
なお、2022年度における論文は、生活困窮者支援における就労支援を研究する前提条件としてコロナの影響を無視することができないため、その影響と対策を分析することに重点を置いている。
このうち、「コロナの感染率および死亡率の要因に関する予備的考察」では、生活困窮や居住環境がコロナの感染率と強く相関していることを示した。
また、「ウィズコロナ時代の生活困窮者支援と孤独・孤立対策」、「貸付化する貧困対策」では、コロナにともなう生活困窮への対応について論じたものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の研究方法は、就労支援対象者の小さな変化を評価するため、評価手法として「KPSビジュアライズツール」という独自の指標を用いることとしている。このツールを開発した京都自立就労サポートセンターを中心に、釧路市、沖縄県にて、記録をつけ続けている。また、一般社団法人ダイバーシティ就労支援機構は独自のスキームに基づく就労支援を行う事業者を支援しており、筆者も評価作業に参加している。評価にはKPSビジュアライズツールを使っている。千葉、岐阜、福岡の3か所で実施中である。
韓国での調査については、コロナのため2022年度夏まで現地での調査には制限があったが、8月下旬以降は制限が緩和されたため、日韓の実務関係者と意見交換をすることができた。
まず8月下旬に、韓国における就労支援のデータ管理を行っている韓国社会保障情報院の院長等と意見交換を行った。また2023年3月には、同国における就労支援の専門家らをまじえ、自立支援を担当する韓国の自治体担当者との意見交換を行った。その結果として、韓国の公的扶助制度における自立支援(韓国では自活支援事業と言う)においても、KPSビジュアライズツールは支援評価において有効だという意見を頂いた。
韓国におけるKPSビジュアライズツールを用いての評価実施に向けて、引き続き関係者との意見交換、調整を行う予定である。

今後の研究の推進方策

日本では引き続き記録を続け、データベースの拡張をはかる。
韓国では、まずは公的扶助制度における自活支援(自活勤労事業)での評価作業の実施に向けて、関係者との意見交換、協議を続ける。これら日韓の就労支援は、本研究における想定においては、共に「研修・訓練型」として位置づけられている。
一方、「仕事創出型」に位置づけている韓国の自活企業、社会的企業、社会的協同組合での調査実施については、自活企業でもあり、社会的企業でもあり、社会的協同組合でもある事業者があるので、その従業員への評価作業の実施に向けて協議する。
データが蓄積できた段階で、「研修・訓練型」と「仕事創出型」の有効性について統計分析を行う考えである。

次年度使用額が生じた理由

韓国において調査を実施する事業者への訪問旅費、謝金等の予算を積んでいたものの、支払うことができず次年度に繰り越した。すなわち、レンタカー代10万円、事業者等への謝金20万円、USBメモリ5万円(データの保存用)等である。
次年度は、繰り越し分と、当初予定分と合わせて、予定通り調査を実施する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] コロナの感染率および死亡率の要因に関する予備的考察2023

    • 著者名/発表者名
      五石敬路
    • 雑誌名

      空間・社会・地理思想

      巻: 26 ページ: 131-136

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本の都市における空間的格差―グリーンネスと生活施設へのアクセシビリティの視点からの分析―2022

    • 著者名/発表者名
      五石敬路
    • 雑誌名

      都市経営研究

      巻: 2 ページ: 25-38

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ウィズコロナ時代の生活困窮者支援と孤独・孤立対策2022

    • 著者名/発表者名
      五石敬路
    • 雑誌名

      自治体法務研究

      巻: 71 ページ: 30-34

  • [雑誌論文] 貸付化する貧困対策2022

    • 著者名/発表者名
      五石敬路
    • 雑誌名

      貧困研究

      巻: 28 ページ: 21-32

  • [学会発表] Introduction of KPS Visualizing Tool: For better understanding of employment services in Korea and Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Norimichi Goishi
    • 学会等名
      Korea and Japan Workshop of Korean Social Security Information Service
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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