研究課題/領域番号 |
22K02020
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
鵜沼 憲晴 皇學館大学, 現代日本社会学部, 教授 (80290245)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 成年後見 / 法人後見 / 意思決定支援 / 公的後見 / 後見支援員 / 共同意思決定 / 社会福祉協議会 |
研究実績の概要 |
今年度は、意思決定支援に関する先行業績の把握を行った。意思決定支援は、成年後見(法学)に限らず、医学、看護学、心理学、行動経済学、経営学、生理学等の領域で検討されており、モデル、ツール、ガイドラインが開発されている。これら他領域の成果を成年後見における意思決定支援に導入することを試みた。 行動経済学における「意思」の定義を参照しつつ、意思とは恣意性、変動可能性を有するものとして捉えた。そのうえで、意思決定支援を、意思形成支援、意思表明支援、意思確認支援、意思変更支援、意思実現支援、フォローアップ支援の6つの要素から構成されるものであるとした。 また、こうした意思決定支援を具現化するには、医学における共同意思決定(Shared decision making:SDM)の視点を採り入れることが最適であるとし、その場合の留意点として、意思決定のパートナーであることを認識してもらうこと、本人の嗜好やパーソナリティを把握しておくこと、本人の意思がいかなるバイアスを経て提示されているかを分析すること、本人の決定と相違する選択肢の提供を行うこと、最終的な選択に向けた討議を行うこと、当該討議からいつでも離脱可能であることを伝えること等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、来年度のインタビュー調査に向けた理論仮説の設定を主たる目標とした。その目標は、ほぼ到達していると評価している。成年後見における意思決定支援のみならず、他領域の支援にまで視点を拡げて把握した点は、今後の理論構築に向けて大きな前進と捉えたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、後見支援員を対象としたインタビュー調査を実施したい。そのために、協力機関の確保、倫理審査の申請、インタビューガイドの作成等の準備、後見支援員を担う意義や後見支援員になることを妨げる要因等の具体的な仮説を設定していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した学会の全国大会がいずれもオンラインでの開催となったこと、コロナ禍でプレ調査ができなかったことにより、交通費が不要となった。次年度は行動範囲を拡大することが可能となることが期待できるため、対面による学会への参加およびインタビュー調査の実施をしていきたい。
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