研究課題/領域番号 |
22K02047
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
久村 和穂 (石川和穂) 金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00326993)
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研究分担者 |
高橋 都 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 客員教授 (20322042)
吉川 栄省 日本医科大学, 医学部, 教授 (60297942)
西野 善一 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70302099)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | がんサバイバー / 孤独感 / 社会的苦痛 / 心理的苦痛 / 社会支援 / 患者・市民参画 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、次の2点を質的・量的調査から明らかにし、がんサバイバーの孤独感を軽減・予防する社会的ケアの開発に役立てることにある。①がんへの罹患によってサバイバーはどのような孤独を経験しているのか。②その孤独感の軽減/増強・遷延に影響する要因(特に社会環境要因)は何か。また、本研究のテーマである孤独感は、研究者の専門知だけでは解決困難な課題であるため、患者・市民参画(Patient and Public Involvement: PPI)の概念に基づき研究過程で患者・市民と研究者が意見交換することにより、がんサバイバーにとって有意義な成果の創出を目指している。 1年目の本年度はがん患者の孤独感に関連する文献調査、および、研究計画書作成にあたりPPI協力者であるがん経験者と研究者が意見交換をするためのミーティングを実施した。PPI協力者のリクルートについては、石川県がん安心生活サポートハウスの利用者からがん種、年代、性別、家族・就労状況等の医学的・社会的背景が異なる4名を選定した。4名の候補者と研究代表者が個別に面談し、ミーティングの趣旨およびPPIの意義について説明し承諾を得た。PPIの意義については、日本医療研究開発機構作成の『患者・市民参画ガイドブック』を用いてその要点を解説し、賛同を得ることができた。 Zoom会議システムを用いたハイブリッド方式でミーティングを実施し、がん経験者4名と研究者4名で本研究の内容や方法に関する意見交換を行った。特にがん経験者対象のインタビュー調査の実施方法、調査協力者のリクルート方法、および、インタビューの質問内容について具体的かつ実現可能な提案があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PPI協力者と研究者が意見交換をするためのミーティングを開催し、がん経験者対象のインタビュー調査の実施方法(例:個別、または、集団インタビュー)、調査協力者のリクルート方法(例:募集チラシの内容、文言の工夫)、および、インタビューの質問内容(例:孤独感についての表現、質問する際の間接的な言い回し、質問の順序)について様々な有益な提案を得ることができた。これらの意見を反映した研究計画書およびインタビューガイドの作成に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
金沢医科大学、および、調査実施施設である石川県がん安心生活サポートハウスの倫理審査委員会による承認を得た後、がん経験者20-25名を対象に、半構造化面接によるインタビュー調査を実施する予定である。 インタビューの逐語録を作成し、質的データ解析ソフトMAXQDAを使用して、孤独の経験や孤独感の軽減、または、増強や遷延に関連する記述データを抽出し、研究者間で議論してコーディングし内容を分類する。約10名分のデータの初期分析について4名のPPI協力者と意見交換を行い、後半約10名分のインタビューガイドに反映させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はCOVID-19感染対策として対面での班会議の開催、および、学術大会等への現地参加を最小限に控えた。繰り越した研究費は次年度の対面での班会議の開催、学術集会への参加費・旅費、および、がん経験者を対象としたインタビュー調査実施のための謝礼品購入(QUOカード代)やテープ起こし代に使用する予定である。
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